東京永久観光

【2019 輪廻転生】

人間は考える計画停電である


電気王国、電気亡国というかんじになってきた。


ノーデンキ、ノーライフ、というか。


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それにしても「マグニチュード7の地震が起こる確率70%」と迫られ、
おまけに福島の原発が今にも壊れそうだというのに、
なぜ東京から逃げ出さないのか。
コンビニから消えたカップ麺の今後ばかり気にしつつ。
私の思考や行動はじつに不合理だ。


東京はそうとう揺れた。
毎度のことだろうとタカをくくっていたら、
そうではなかった。
あのままもっと揺れたりするときに人は死んでいくのだろう。
でもそこまでいくとはなかなか考えないし、
実際たいていはそこまでいかない。
そんなわけで、今回も私は生き延びた。


つまり
「たいしたことなかった」「結局、生き延びたよ、わっはっは」
という体験は人生で何度でも可能だが、
死んでしまう体験は1度きりしかできない、
ということだ。


だから、死のことはわからないし、
これほど繰り返し地獄をテレビで見せられても、
私は地獄を実感できた気がしない。


とはいえ。
「おれはきょうは死なない」という予言はふつうは当たる。
その確率はふだんならものすごく高い。
でもこの3日間にかぎるとそれはぐっと低くなるのではないか。
それなのに…。
人の感情は合理的でも経済的でもないことを、あきれるほど実感している。


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助けてくださいという人を、できれば助けてあげたい。
が、何もできない。
その人たちをテレビで見ることはできるから、
よけいどうしようもない気分になる。
自分が助けてほしいときも同じなのだと思うと、絶望的になる。


日本列島難破船


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この世は電気で動いている


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これを今日やらなければ死んでしまうといったほどのことは、
ふだんはあまりないのだが、今の東北にはありすぎるのだろう。


もちろん私のほうは、
今日これをやらないと死んでしまうというほどのことは、
まずなにもない。
ただ、今日この仕事をしておかないと
比喩的には「死んでしまう」というほどのことは、
やっぱり相変わらず多いのだ。


「比喩的には死んでしまう」というほどのことだけのために、
何十年も生きてきた。
これからもそうなりそうだ。
比喩的でなく死んでしまうようなことがないかぎり。


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電気天国と電気地獄


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NHKで繰り返される緊急地震速報が、ツイッターみたいに思えてきた。

 
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アフガンやイラクで生活するには、
天気予報なみの爆弾予報が必要なんじゃないかと以前おもったが、
なんとわれれが日本で地震予報がこう頻繁に伝えられる日がくるとは! 
しかも瞬時に的中!


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私も計画停業とかしたいものだ。計画睡眠とか。