東京永久観光

【2019 輪廻転生】

それでも私はガンになる

コーヒーをよく飲む人は、ほとんど飲まない人に比べて肝臓ガンのリスクが半減するという話(国立がんセンターの調査)
http://www.asahi.com/science/update/0216/006.html

ちょうど仕事場で無料コーヒーをガバガバ飲み続けていたところだったので「おお!」と思った。「でもコーヒーに悪いところはなかったっけ?」とは気にしない。

なお、これは追跡調査による統計なので、ガンとコーヒーの生理的関係の話ではもちろんない。だから「肝臓が悪くなった人がコーヒーを控えるようになっただけでは?」という疑問も載っている。また、肝臓ガンはウイルスや薬害も絡めて考えないといけないだろう。

いやそれより深刻なのは、調査している10年の間に、対象となった10万人のうち334人が実際に肝臓ガンになった(「ガンになって死んでしまった」と書きましたが間違いです)という事実のほうではないだろうか。しかも、コーヒーをあまり飲まないと10万人中547人(計算上)が肝臓ガンになるが、実はコーヒーをガバガバ飲んでも214人は肝臓ガンになってしまうのである。「ぁぁ…」

日本ではガン全体の死亡者が今や年間30万人という。単純に10倍すれば10年で300万人。国民10万人のうち3000人弱が10年の間にガンで死ぬことになる。中高年に限れば数はおそろしく増えるだろう。比較のために交通事故をみると、過去10年間の犠牲者は9万人前後。国民10万人あたりだと10年間でも100人まではいかない。

そもそも日本における死亡原因の3分の1はガンなのである。将来それが2分の1になるとも言われる。宝くじは当らないが、私もいずれガンには当る。まあもっとはっきりしているのは、私もいずれ死ぬだろうということなのだが…。

ところで2月14日は無料チョコレートもガバガバ食べた。仕事場で。

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関連で追記3・7
http://www.asahi.com/health/medical/TKY200503060205.html
がんリスク調査で10万人20年追跡

チューリング小論文

大学入試の小論文をコンピューターが採点するとか
http://www.asahi.com/national/update/0215/019.html朝日新聞

《パソコン入力された800〜1600字程度の小論文を、(1)文章の形式(2)論理構成(3)問題文に対応している内容か――の三つの観点から評価し、標準的には、(1)を5点、(2)を2点、(3)を3点の計10点満点で判定する。「語彙(ごい)の多様性が不足」「議論の接続が不十分」「問題文との関係が希薄」などの短いコメントと点数で1、2秒後に判定を打ち返す。》

入試の小論文というのはこうした観点で判定できてしまうものなのだ、ということか。

しかしたとえばブログで読むような文章だと、形式や論理とはいえない不明のノイズが多分に含まれていて、それを抜きにしてどちらが面白いかは判定できない。どちらが正しいかの判定も難しい。

というか、文章というのは、今ここに書いている1行が他のすべての行と複雑に対応してしまうではないか。昨日書いた1行や他の人が書いた1行とも微妙に対応してしまう。というわけで、人にもよるが、たとえば結論を先にするか後にするか、そもそも結論を出すのか出さないのかに始まって、言いたいこと以上に言い回しをどうするかで時間をとられる。そういう苦労はどうなる。

…と確信しているのだが、じつは我々の書く文章なんて、予想を超えてパターン化されており、そうした個性やノイズや苦労も含めてコンピュータが自動採点できる程度のものなのかもしれない。

ちなみに、《…理想の小論文として全国紙の2年分の社説、コラム計約2000本を記憶し、「学習」している。文の長さ、漢字・かなの比、言葉の多様さ、受動態の割合、接続詞の使い方などの統計分布から割り出し、模範に近いほど高い点数を与える仕組みだ。》…理想の小論文。そうですか。

話し言葉は書き言葉以上にノイズが多いと思う。声の響き、顔の表情、その場の雰囲気。言いよどみも言い直しもいくらでもアリだ。書き言葉では書いた文字以外の情報は原則的には伝達されない。それを話し言葉並みにするため、あれこれ言い回しをひねるのかもしれない。そもそも私たちの思いはリニア(直線的)ではないようなので、言葉というリニアな道具でそのままやりとりしようとすると、たぶん何かが不足してしまう。ノイズの出番はそこにあるのだろう。

ちなみに、人間のDNAを100点と採点するコンピュータは、チンパンジーのDNAには98点を与えるのだろうか?

ちょっと参考 → http://www.mayq.net/dna1.html