★パリ、テキサス/ヴィム・ヴェンダース

映画『パリ、テキサス』がAmazon Primeに出てきたと知り、すぐにアクセス、最後まで一気に見てしまった(というか、映画はもともとそういうものだが最近は止めたり戻ったりが普通になった) 

冒頭、青い空とトラヴィスの赤いキャップが、やはり印象的。ライ・クーダーのギターがパブロフの犬的。

さまようトラヴィスが弟夫妻の家に迎えられるまで40分もかかる。しかしその後、人格的回復は意外に早い。20分。その鍵というなら、1つは、スペイン語を話すお手伝いさんが「父親には父親の服装や歩き方がある」と教えてくれ、その通り実践したこと(今回気づいた) そして学校帰りのシーンへ。

そしてもう1つ、トラヴィスを変化させたのは、昔の親子3人が映り込んだプライベートなフィルムの上映だった。ーーこれはそのような映画なのだということを今さらながら思わされた。

ラヴィスが妻ジェーンまでやっとたどりついたとき、ジェーンは赤いもこもこのワンピースの広くあいた背中が見えるだけで、代わりにジョン・ルーリーがこっちを向いて立っている。誰より印象的なその顔立ち。そしてまあそりゃそういうスーツを着ているだろうというスーツが決まりすぎていた!

ラヴィスとジェーンはマジックミラー越しに受話器を使って会話する。それもちょうど20分間だった。コミュニケーションが成立するためのぎこちない媒介ーーそんなことが思い浮かんだ(昔の鑑賞でもそうだったか)。室内の役者2人だけの長い会話シーンを成立させる仕掛けにもなったのか(結果的?)

 

…ただ、この映画でいつもひっかかるのは、実の父親と息子ならかくも当たり前のように関係が結びつくのは本当なのだろうか、ということ。しかも、実ではなかった父親と息子のほうの関係は、かくも当たり前のように一瞬で切れ、二度と言及されない。