昨日たまたまみたドラマはクローン人間の話だった。生命がクローンという異質な仕組みでも誕生できてしまうことの不思議さ。実の父母が存在しない人物であり人生であることの不条理さ。
とはいえ、私や君や彼という人間が、クローンという異質な仕組みでなくても、そもそも誕生してしまっているということ自体、あまりにも不思議ではないか、ということを強く思った。
それに、父母がない不条理が父母がいる不条理を必ず上回るとは言い切れない。いやそんなことより、私や君や彼が、動物の個体にとどまらず、人物という物語や人生という物語を生き、しかもそのあらゆる人物や人生は必ずや偶然の死によって断ち切られる。その不条理をクローン人間であることの不条理が超えてはいない。
【ネタバレ注意】【ネタバレ注意】【ネタバレ注意】ドラマは面白かった。タイトルは『分身』。原作も読んでみたい。【ネタバレ注意】【ネタバレ注意】【ネタバレ注意】
もう一度言おう。宇宙があること自体が不思議で仕方ない。そこに人間の意識や知性といったおかしなものがいつしかうごめいていることも奇妙で仕方ない。宇宙は果てしない謎。私や君や彼がいることの正体も意味も同じく果てしない謎。もし私がクローンで生まれても輪をかけた謎にはならない。
いやもちろん、神が存在するならば、すべては謎ではない。そしてクローンは不自然だろう。しかし、神は存在しない。「ないんだから しかたがない」(丹波?)