一昨夜たまたま、『東京流れ者』(鈴木清順)をアマゾンプライムでみた。1966年。渡哲也さん24歳か。
https://www.youtube.com/watch?v=Op6Wq16RqDA
それにしても、こりゃ鈴木清順、好き勝手し放題だな、という感の強い一作。カフェの室内や事務所の室内のひどく現実離れしたレイアウト。高校の文化祭の教室の作り物的。
唐突に庄内に向かった渡哲也は雪景色のなか主題歌を歌いながら歩く。そうかと思えば、佐世保に飛んでネオン街のキャバレーで大暴れ。この店のドタバタはまるでドリフかひょうきん族のコント風。
渡哲也の薄い水色のスーツが珍しく感じられ、ポストや提灯など赤い物が次々に出てくるのも目にとまるが、最も鮮やかだったのは、二谷英明の緑色のジャンパー。アントニオーニ『赤い砂漠』でモニカ・ヴィッティが着ていたコートの緑に負けない強さだった。
最初と最後に出てくるタイトル「東京流れ者」の文字も、じつは緑色。
未来は幻想でしかないが、遠い過去ももはや幻想に限りなく近い。1966年の日本は実在したが今はもう跡形もない。24歳の渡哲也さんも実在したがはるか昔のこと。1966年は一度は実在したという点がたしかに2066年とは違うものの、現在まったく実在しない点では2066年とまったく変わらない。
ところで私が『東京流れ者』を初めて見たのは2001年だった。
http://www.mayq.net/junky0104.html#010530
2001年ですら もう前世のようだ。