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【2019 輪廻転生】

★21世紀の啓蒙/スティーブン・ピンカー

ピンカー『21世紀の啓蒙』(上)は人類の未来に毎度ながら強烈に楽観的。感想をツイートしようとした矢先、コロナパンデミックが襲ってきたので、ツイートは控えていた。その後やっとコロナが収束してきたので今こそと思ったら、今度はアメリカが大騒乱で、やっぱり世界楽観ツイートは遠慮したくなる。

まあしかし、ピンカーがどんなことを書いているか、ちょっとだけ紹介(以下、同書の要約として)

 

近代の啓蒙以前に私たちの世界像は如何ほどのものだったか。
「魔女は嵐を呼び船を沈めることができる」
「オオカミ人間を信じる。見つかるのはベルギー」
「ネズミはわらの山の中から発生する」
「他殺死体は犯人が近くに来ると血を流す」
「虹は神のお告げ。彗星は凶兆」等々(同書の要約)

 

現在も誤った悲劇的世界観は健在。「バカンス客はサメ襲撃の記事を見たあとやジョーズを観たあとは海に入らない」「飛行機事故はニュースになるが、はるかに多くの命を奪う自動車事故はニュースにならない」「米国人は竜巻のほうが喘息より多くの人の命を奪うと思っている」等々

 

じゃあ「世界を正しく認識する」にはどうすればいいんだ? 

ピンカーは「数えること」が大事だという。コロナ禍の昨今、これこそ実に意味深長だと私は思った。

《世界の状況を正しく評価するにはどうしたらいいのだろうか。答えは「数えること」である。今生きている人が何人で、そのなかの何人が暴力の犠牲になっているのか。何人が病気にかかり、何人が飢えていて、何人が貧困にあえぎ、何人が抑圧されていて、何人が読み書きができず、何人が不幸なのか。そしてその人数は増えつつあるのか、減りつつあるのか。(略) これは実は道義的にも賢明な方法だといえる。なぜなら身近な人を優先するわけでも、テレビ受けする人を特別扱いするわけでもなく、一人ひとりの価値を平等に扱う取り組みだからだ》

 

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綿野氏はピンカーに同意するのか反論するのか、どうなんだろう? https://twitter.com/gunzo_henshubu/status/1273073121705316359