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【2019 輪廻転生】

★天然知能/郡司ペギオ幸夫

郡司ペギオ幸夫『天然知能』。この人の本が初めてスラスラ読めて感動し、内容のすばらしさに感動し、たいへん喜ばしき休日。


https://www.amazon.co.jp/dp/4065145139

 

《天然知能は、自分が自分らしくあることを、肯定できる、唯一の知性なのです》

世界をいわば百科事典のように構築していくのが自然知能なら、そのつど最適解を割り出して解決していくのが人工知能。それで何が足りないのか? 外部すなわち他者が欠けている。そこには創造というものが起こらない。そうした趣旨。では天然知能はどうか…

《(…)天然知能は、知覚できないものの存在を感じ、それを取り込もうと待ち構えている。この意味で、天然知能は、自らの世界の成立基盤を変えてしまうのです》

《今まで私たちは、あまりに人工知能的知性を、人間に課しすぎていたのではないでしょうか。「知能可能な全てを考慮して、総合的に判断する能力」、これのみを追い求めてきたのではないでしょうか。しかし、もはやそういうことは人工知能に任せておけばいい。私たちにはもちろん、人工知能的な部分も、自然知能的な部分もあります。しかし、今はまさに天然知能を全面展開するときなのです》

 

もう1つまとめ的に。

天然知能=《ただ世界を受け容れるだけ。誰にとってのものでもなく、知識ですらない》《或る場合には評価をすることがあっても、別の場合には一切無意味であるものも受け容れる》《評価軸が定まっておらず、場当たり的、恣意的で、その都度知覚したり、知覚しなかったり》

 

私たちの世界との向き合い方が「こうありたい」という切望でもあろうし、けっこう「こうなっている」という実感でもあろう。私たちは、どうにもわからないもの・いかんともしがたいもの、それを抱えそれに包まれ、そうこうしているうちに、思いがけないことを、なしとげたり、しでかしたり、する。

天然バカボン「これでいいのだ!」