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【2019 輪廻転生】

★哲学入門/戸田山和久

戸田山和久『哲学入門』ちくま新書(2014)

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 ここまでぼろぼろになったのは浴槽に落としたせいだが、気持ちとしてもこれくらい熟読した。

生物は岩石とは違う。さらに人間は他の生物とは違う。つまり、私たちがものごとを捉え応じるこのやり方は、山が雨に打たれるのとはどこか違い、蚊が血の匂いに寄ってくるのともどこか違う。でもどう違うんだ? そこを徹底してクリアに見極めた一冊。積年のもやもやがスカッと消えた(かも)

もやもやをキーワードにするなら「表象」や「自由」といったものになる。同書はこれらを章のタイトルにして、人間の認知や行動の複雑さ精緻さを追っていく。読み通した感想を一言でいえば「私たちは奇妙ではない、私たちは健全なんだ

《本書は唯物論的・発生的・自然主義的観点からの『哲学入門』だ》と序文にある。そして参照されるのは主にミリカンやデネットといった人の考え。だから著者は、思考がクリアであるのみならず、その立脚点も隠さず潔い感じ。

反対に著者から遠いのはポストモダン現代思想の系統だろう。《私はドゥルーズがホンに苦手で、何度読んでも投本断念》とも書いている。ドゥルーズデリダフーコーは、人間や世界を「健全」とはみなさず、その秩序や価値の流動性や不透明性こそを見つめている、と言えるのかもしれない。

以前この本を途中まで読んで、すでに独創的な一冊だと確信したが、タイトルが「哲学入門」ではその独創性がまったく伝わらないと思った。しかし今回通読してみると、最終的にはなぜか「生きること全体の目的など実はないのになぜそれを求める?」といった、まるで「哲学骨の髄入門」に至っていた。

 

 哲学入門 (ちくま新書)

 

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