東京永久観光

【2019 輪廻転生】

★アメリカの友人/ヴィム・ヴェンダース(NHK-BSで視聴)

 アメリカの友人 デジタルニューマスター版 [DVD] アメリカの友人 [DVD]


ブルーノ・ガンツ、ヒゲが濃い(どんだけ剃っても)

ヴェンダースの映画のなかでも『アメリカの友人』は一番好きなのだが、私の気づきなどはるかに超えて、どこをとっても素晴らしすぎる。

先月旭川まで出張したとき、急ぎで道路を小走りして転倒、頬をアスファルトに打ち付け、血をぬぐいながら仕事の相手に会ったということがあったので、ヨナタンがパリの地下鉄で、焦る気持ちからゴミ箱か何かにぶつかってコメカミから血を流したのを見て、同情しないわけにはいかなかった。

大昔『アメリカの友人』を初めてみたときは、トム(デニス・ホッパー)のほうに哲学的に共感した記憶があるが、今みれば、明らかにヨナタンブルーノ・ガンツ)に実際的に共感する。

自分の死期そして他人の殺害について、どういうわけか、突然やってきた怪しい人物(ミノ)と、電車に乗りながら、自分の言語(ドイツ語)でもなく相手の言語(フランス語)でもない使いづらい共通語(英語)で、会話する羽目になったら、いったい私ならどんなフレーズを口にするだろう。

アメリカの友人』、考えてみれば、重大なタスクの1件は外国(フランス)滞在中に実行される。次の1件は国内(ドイツ)だが寝台列車の移動中に実行される。「ロードムービー」はヴェンダースの代名詞だが、どちらも不慣れな旅の途中のハプニングであることが、少なくとも私には核心的に思える。

ところで私のほうは、自身に続いてその仕事も危うく転倒しかけた(死ぬかと思った)。が、どうにか態勢を保ち、きょうに至った。あと少しでゴール。『アメリカの友人』のゴールは、ハンブルクの彩りと陰りに満ちた麗しい街景でもよかったが、そうではなく、朝日が白白と登ってきた海岸線とワーゲン。


 *


1970年代とはどんな色あいで記憶されているかというなら、あんな(『アメリカの友人』っぽい)感じなんじゃないか。それに続く1980年代は、少なくとも私には、さっと露出が高くなってビビッドな天然色。


https://www.youtube.com/watch?v=9AN9AAeVxa8
(ユルゲン・クニーパーによる『アメリカの友人』サウンドトラック)


https://www.youtube.com/watch?v=wtkLkjfEBTQ
大滝詠一君は天然色」ORIGINAL TRACK)


ついでに(壊れかけたワーゲンの…)
http://www.nicovideo.jp/watch/sm17508053
大滝詠一「雨のウェンズデイ」)