2018-08-04 ★取り替え子/大江健三郎 文学 本 この続編にあたる『憂い顔の童子』を読んだときの感想が「ぎくしゃく」だったが、まったく同じで、古義人のやることや考えることや言うことは、ぎくしゃくぎくしゃく。ああこういう内閉的個性的モードで仕事や生活をしていいんだという安堵と確信に満たされる。なんというか、章ごとに、長いピタゴラスイッチの装置を観察しているような展開なのだ。そして、ぎくしゃくしながらも、最後はとりあえずパタッと着地。この作家の政治的発言とは対照的に思えるのだが、お茶目と気弱さが心を和ませ親しみを呼ぶ。