トランプが日本に来たことで、彼がおもしろおかしいコミックやドラマの人物ではなく、現実を実際に左右している人物なのだと実感する。いやむしろ、アメリカという現実がじつはコミックやドラマそのものなのかもしれない。
ただ、天皇と並んだ姿をみると、これがまた、空想国家物語を自分が生きているような感じがした。
たとえば子供のころ集落のソフトボールチームが守備位置と打順の関係を巨人軍のそれにためらいもなく合わせていたのは、空想プロ野球物語をみんなで生きていたのだ。ただしそれは過去の話。ところが空想天皇国家物語のほうは、何十年たっても、今なおこぞってそれを生きている。
そしてじつに、空想天皇国家物語は空想平和国家物語とそっくりな構図をしている。
ここで、この1年ほどで私が思いついた次の問いが、またひとつ明瞭になる。すなわち―
「第9条が幻想であるのなら第1条も幻想ではないか?」
「第9条が神聖であるのなら第1条も神聖ではないか?」