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【2019 輪廻転生】

★人工知能はどのようにして「名人」を超えたのか?/山本一成


 人工知能はどのようにして 「名人」を超えたのか?―――最強の将棋AIポナンザの開発者が教える機械学習・深層学習・強化学習の本質


将棋AI「ボナンザ」の作者山本一成さんの本。なるほど!と引きこまれる語り。そのわけは「知能って何?」さらには「知性って何?」といった核心をさくっと定義するような姿勢にあると思った。すなわち謎とのきわめて適正な向き合い方だろう。

へえ〜と感じ入ることが目白押し。たとえば、ボナンザは王を詰むという最終目的があればまっしぐらに進むが、そのための中間の目的を見つけるのはうまくできないという。ところが人間はこの中間の目的を設計するのが得意。それは「意味」と「物語」にとらわれた存在だからだ! といった話など。

もう1つ。ディープラーニングは言語も音声も画像も扱えるが、最も得意なのは画像認識だそうで、そこから山本さんは《もしかしたら「知能とは画像である」と言うことすらできるかもしれません》などと、どうしても二度見せざるをえないことをポロッと言う。

《つまりところ、人間は2次元の画像にできるものしか認識できないのではないでしょうか》

ここから考えるに、たしかに画像とは領域や位置が明瞭で、内部の関係も単純。それにひきかえ、文章は内部の関係が複雑だし、単語1つとっても意味というものの領域や位置が見定めにくい、という気がする。

しかも実は、ディープラーニングでは「言語の処理も画像としておこなう」という手法が登場しているらしい。それっていったい…?