東京永久観光

【2019 輪廻転生】

『サピエンス全史』(終盤)


 サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福


ここからの続き↓)


この本は、人類が、社会や生活の基盤を、劇的に、しかも、幾度も、変容させてきたことを、思いがけない視点から、ありありと実感させるわけだが、下巻の終盤まで来ても、その勢いは衰えるどころが加速している。近代科学による激変、資本主義による激変、そして――

昨夜読んだのは―― 私たちの生涯は長きにわたって家族と地域という2つの縛りと後ろ盾だけによって支配され保護されてきた。ところが産業革命以後は家族と地域の役割を国家と市場が完全に奪い取った。またたくまのできごとだった。

「家族と地域→国家と市場」という視点は、私にはあまりにも新鮮で、またもや脳がしびれるような感覚を味わった。著者も、ここまで述べてきた人類史の多数の激変のなかでも、この激変こそ最大のものだという認識を示している。そうか、私たち現代人の奇妙さは、ひとつ大きくここに由来するのか…

さらに、著者の分析で見過ごしてはならないのは、国家と市場が家族と地域から人々を統率する力を奪いとるたときに「個人」という概念を武器にした、という点だ。なるほど〜。ふだん私たちは、国家と市場が個人を侵していると憤り事実そうだろうが、そもそも個人は国家と市場から授けられたのだ!


(→ここへ続く)