東京永久観光

【2019 輪廻転生】

よその国の軍隊


日本という自国にアメリカという外国の軍隊が居るという状態を、小林よしのりはそもそも受け容れがたいと考えている。その気持ちは重要で共感できる。しかしその場合、私にとって「日本」とは「自国」とは「アメリカ」とは「外国」とは何なのか、 それは明瞭なのかと、問い直すことになる。

たとえば、日本とアメリカの違いは、円とドルの違いであって、実質的にはそれ以外にはないような人もいるだろう。

日本や日本人という枠組みも、どこまで普遍的なのか、どこまで規範的なのかという疑いが、昔からあり、しかも今ますます大きくなっている。

とはいえ、ほとんどの日本列島住人が、「日本」そして「日本人」という強力で固定的な自覚のなかで生きていることも、事実だろう。

つまり、日本が私たちの国でありアメリカはよその国だという思いには、強力な背景そして根拠があるのだ。それなのに、その私たちの国を守るのが私たちの国の軍隊ではなくよその国の軍隊だという事実。これに、まったくたじろいだことがないような人を、私はとりあえず信用できそうにない。

だがしかし―― と、ここから長い思案を始めたい。