本も、タイムラインのごとく、かなり複数をとっかえひっかえ細切れに読むのが普通になってきた。こうした「文字を読む体勢の大きな変化」は、長い歴史のなかでそう頻繁には起こらないと思うので、凄いことだ。大昔、黙読は珍しかったとか、立って読んだ(?)とか、それくらい大きなギャップではないか。
ちなみに、『グーテンベルクの銀河系』にはこんなことが書いてあったようだ(私のメモによる)
《写本文化は、活版印刷文化によって創造されたような著者たちや、読書界をもちえなかった》つまり《中世には著者は存在しなかった》
《「われわれ現代人が著者にたいして抱いている観念、すなわち自分の書きものを印刷に付することに成功し、偉人の道を歩み始めている人、といった魅力的で輝かしい著者像はごく近代になってからの付加物であるとおもわれる」(ゴールドシュミット『中世のテキストおよびその最初の印刷』)》
つまり「印刷術=書籍=著者・読者」という永遠不滅かと思えた制度も、100年単位でみれば過渡的だった、ということになるのか。これが嬉しいか嬉しくないかは微妙だが、現在の私たちが日夜それに加担しているのは間違いない。
◎関連エントリー: http://d.hatena.ne.jp/tokyocat/20031029