東京永久観光

【2019 輪廻転生】

★狂気/ピンク・フロイド = my favorite 音楽 30 =


 狂気


3曲目「The Great Gig in the Sky」(虚空のスキャット)のボーカルはゲスト女性だ。常識中の常識であろうことに、私は今ごろ気づいたという話。
 ◎ http://www.youtube.com/watch?v=UqCEPytSFqU

たしかに どう考えてもピンク・フロイドのオッサンくさい声ではない。ただ同じころツェッペリンなんかが「移民の歌」とか平気で歌っていたし、ディープ・パープルの「タマホーム」じゃなく「紫の炎」なんかも甲高い声だったので、このボーカルもふつうに聞き流していたのだろう。なんという不覚。
 ◎ 移民の歌 http://www.youtube.com/watch?v=MOe7_vtAHD0
 ◎ 紫の炎 http://www.youtube.com/watch?v=LCnebZnysmI
 ◎ ハイウェイ・スター http://www.youtube.com/watch?v=ybFvHbPXe9k


ロック史上 評価も売上も最大級のこのアルバム『Dark Side of the Moon』(狂気)=1973=は、私も80年代初めにはCDを買い、以後定番として聴いてきた。……と思っていたが、ぜんぜんちゃんと聴いていなかった。その程度のリスナーだったことを、40年の歳月を振り返りつつ猛省。


以下のライブが その女性 クレア・トリー。
 ◎ http://www.youtube.com/watch?v=InOpOHfSt40

後年のツアーでは様々な人が歌っている。以下2つはオーストラリア公演らしいが、これらも見事。
 ◎ http://www.youtube.com/watch?v=sxo0OJkbaMY
 ◎ http://www.youtube.com/watch?v=oFpyjp_U5ug

日本でだれかカバーしていないのかと思ったら、ボーカロイドに歌わせている人がいた。演奏もすべてシンセのようで驚き。
 ◎ http://www.youtube.com/watch?v=_6W0av4Vv7I


ともあれ改めて聴くと、惚れ惚れするしかない旋律と声の波打つ運動。音楽のジャンルも超えていると思った。

作曲はキーボード担当のリチャード・ライトによる。冒頭 静かなピアノ・ソロにスライド・ギターがかぶってくる。コードはBm→F→B♭→Fという。キーがFにしてBm→Fという思いもよらない転調は、まさにプログレっぽく、ここでしか使われないのに曲全体の彩りをいきなり決定づける。ボーカル部分は Gm7→C9の繰り返し。

そのメイキングをメンバー4人が以下で回想している。

 ◎ http://www.youtube.com/watch?v=Vr1T-uvg_vU

風貌の変化があり誰が誰かわかりにくい? いやそもそも私は、当時ですらメンバーの名前と顔を線で結べというクイズには正解できなかった。


若かりし日の4人は以下で確認せよ(別のアルバムの名曲「エコーズ」)

 ◎ http://www.youtube.com/watch?v=5sein6WnbY0

彫りが深くて最もモテそうなのがリチャード・ライト


それと、こうした記録をいくつか辿ってみてわかったが、シド・バレット脱退後のピンク・フロイドロジャー・ウォーターズが主導したと思っていたが、デヴィッド・ギルモアの寄与がきわめて大きかったようだ。多くの楽曲でギターを長々と響かせメインボーカルもよくやる。作曲も多い。

つくづく何も知らなかった。1970年代の英ロックあるいは20世紀のポピュラー音楽全体としてもプログレッシブ・ロックは特筆すべき達成点だろうし、ピンク・フロイドはその最高峰の少なくとも一角だというのに。たとえばビートルズについて知っていることの100分の1程度しか、私はピンク・フロイドについて知らなかった。

ただ、ピンク・フロイドを部屋でずっと流していて飽きるということがなかった。長いのに。ファイバリットとはそういうことだ。クラシックは長いからたいてい飽きる。ロックですら飽きる。レッド・ツェッペリンも飽きるし、同じプログレでもEL&Pなどは飽きる。

ではそのピンク・フロイドの良さとは? 私にとっては「いかにもプログレ、いかにも深遠」で、しかも案外わかりやすいこと。寺山修司の映画やダリやマグリットの絵画を見ているようなのだ。もちろんこれは褒め言葉。

また、オッサンくさいと書いたが、それは2000年以降に復活したときの印象からでは必ずしもない。たとえばビートルズの4人がとにかくやんちゃで「チャーミングさ」が瞬間的にほとばしり出るのに対し、ピンク・フロイドプログレゆえかもしれないが最初から老成・円熟のイメージで、改めて聴いても歌声は地味だ。ギルモアのギターも聴き応えがあるのにエリック・クラプトンジミー・ペイジほどの熱烈な支持は受けていない。もちろん私はその若いのにオッサンくさいところが魅力だったと思っている。


さて、そうした私のピンク・フロイド イメージの中心にあったのは、このアルバムなら6曲目(あるいはB面の2曲目というか)の、深刻にして荘厳な(あるいは大げさなというか)「Us and Them」あたりだ。

 ◎ http://www.youtube.com/watch?v=nDbeqj-1XOo

ゆっくりゆっくり盛り上がるギターとサックス。ボーカルが入るまで1分42秒かかる。そして2分49秒でサウンドは最大に厚くなり、オーディオの低音能力を測るのにもしばしば役立った。その後の展開は「戦争と人間の宿命」といった予想されるイメージをどこまでも裏切らない(褒め言葉です)


あるいは 3曲目の「Time」。「これはニートの悲哀を表した名曲である」とみなし歌詞をしみじみ記述していく秀逸なニコニコ動画があったが(今は消えている)、それを知って以降いっそう忘れがたい1曲になった。

 ◎ https://www.youtube.com/watch?v=rL3AgkwbYgo
 ◎ その時の感想 http://d.hatena.ne.jp/tokyocat/20110428/p1


それらに比べ「The Great Gig in the Sky」は、今回ようやく威力を思い知ったのだ。


なお、このアルバムこそは全体のコンセプトを語るべきであり、他の曲についても触れないわけにはいかない。途切れずに演奏される楽曲の連なりも無視できない。また、ピンク・フロイドは『原子心母』や『おせっかい』など他のアルバムも甲乙つけがたい。そのあたり、また追記しよう。


 *


最初スピーカの音が聞こえないので音量を間違えているのかと思って調節するとじわじわ巨大になっていくプログレのパターンは、夜中には迷惑なのでやめてほしい。あるいは、猫がリモコンを踏んでいる。


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パソコンとネットばかりの日々があまりにも長く積み重なっていく。私たちはやっぱりへんな時代を生きているのか(出征のことしか考えないようなへんな時代もあったのだろうが)

そうこうしているうちに、ブログはいつしか私の日記の代わりになり、やがて私の記憶の代わりになってきた。

「何をそんなに?」「いろいろですよ」

……いや本当はいろいろではない。せいぜい「小説」や「映画」や「音楽」のことを書いたのだ。自分がパソコンに保存してきた全てのファイルをフォルダに分けて整理しようとしたら、フォルダが1000も出来てしまい収拾つかなくなる、なんてことはないのだ。人生はそれほど長くない。フォルダも多くて100までだろう。

というわけで、自分が大好きなたとえば小説、映画(近ごろはDVDばっかりだが)、音楽くらいは ここにまとめよう。ベスト10では足りないが、ベスト1000を知るほどの暇はもうないだろう。ベスト100なら選べるかもしれないが、きわめてズボラな私がブログに費やせる時間を考えると、ベスト30くらいが適当。


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