東京永久観光

【2019 輪廻転生】

生態系ばかりが驚異ではないよね


この世における複雑なネットワークとは何だろう。

生態系はそれを代表する一つだろう。生物を外部から決定づけるネットワークだ。一方、生物を内部から決定づけるネットワークは代謝系だと言える。

脳のニューロンによるネットワークもまた、代謝系と並ぶほどの複雑なネットワークだろう。このとき、代謝のネットワークは主にゲノムの支配を受けるのに対し、ニューロンのネットワークはゲノムを超えた何ものか(意識や思考や知能?)の支配をも受けているかもしれないことが、きわめて興味深い。


ここまでは自動的に考えが進むのだが、さっきふと思いついたことがある。


生物は生態系というネットワークによって全部がつながっている。たしかにこれは途方もないことだ。

とはいえ、生物の外部に存在する広大なネットワークといえば生態系しかない。ところが、人間という生物だけは生態系のほかにも外部ネットワークを有する。それは言語だ。

他の動物や植物だって生態系としては全てがつながっており、それには途方もない感動を覚えるわけだが、個体どうしの交信となると規模はあまりにも小さい。ところが、人間どうしの言語による交信は、空間を超え時間を超え、きわめて複雑に結びついている。このことにふと気づき、もう一つの途方もない感動を覚えたのだ。

言語はある時期から、文字や印刷や通信の発明に伴ってだろうが、生態系とは別個のネットワークを着々と形成し全ての人間を繋ぐようになったのだ。それはもはや生態系のようであり代謝系や神経系のようでもある。


そして……。ここからはまた自動的に考えが進むが、人間の言語ネットワークは文字の時代や書物の時代を遠い過去に変え、とうとうインターネット時代を迎えました。

……すごいよね!


それにしても、生態系・代謝系・神経系、これらはみな自然が作り出した複雑なネットワークだ。では、言語系という複雑なネットワークは、いったい誰が作り出したのか? インターネットはアメリカの人間が作ったことになっているし、文字や書物もやっぱりどこかの誰かがある時に作ったのだろう。では言語は? これは自然物なのか人工物なのか?

……というおなじみの問いに行き着いたところで、いったん終了。