東京永久観光

【2019 輪廻転生】

新宿永久観光


夜中にときどき新宿の街を散歩する。先日も人影の消えた通りをとぼとぼ歩いていると、人群のやけに明るい賑わいが向こうにある。何だとおもったら花園神社だった。

たくさんの提灯を高く掲げ、参道を入ると露店がぎっしり。深夜2時だというのに、まるで昼間の竹下通りかという人出だ。たこ焼き、焼き鳥、焼きそば、奥に入れば居酒屋さながらの茶店。魚介やおでんが湯気を上げ、満席の人々は思い思いに飲み、食べ、喋っている。

酉の市とのこと。大小無数の熊手飾りが境内の主役。意表を突くばかりのデコレーションが電灯に映える。客が購入すると取り囲んだ拍子木の音が鳴り響く。


予想しなかったハプニング。新宿近くに数年も住んでいるが、この祭り自体を知らなかった。いくら歩いてもぱっとしないこの街が、これほど沸き立つ興奮を与えてきたのは、初めてかもしれない。


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私が出くわしたのは前夜祭。翌日の宵にも出かけてみた。もはや満員電車なみの混雑。


見世物小屋があったので入った。この世に怪奇やテント芝居が存在した昔を思い出し笑いするメタ観劇か。


歌舞伎町の極彩色が熊手飾りに見えた。