人生の希望の半減期は?
――ざっと30年くらい?
早熟過敏な人なら14歳とか18歳とか?
しかし、
半分になりまた半分になりさらにまた半分になったとしても、
希望と放射能はけっしてゼロにはならないのであった。
*
福島の前から原発にはずっと反対で今も反対の人。
福島の前から原発にはずっと賛成で今も賛成の人。
福島の後からにわかに原発に反対になった人。
一貫しているのはどの人なのだろう。私はどうなのだろう。
福島がもし100倍くらい被害が大きければ、
ずっと原発賛成だった人もさすがに反対するのか、
というと、たぶんそうでもない気がする。
また、100分の1くらい被害が小さければ、
ずっと原発反対の人はとくに反対しないのかというと、
福島の前から反対だったのだから、
そういうことはないはず。
いや、そうした他人のことはいいのだ。
私はかつて福井県に住み、
「お前は原発に賛成か反対か」と問われれば、
「反対だ」と答えた。少なくとも心の中では。
それはたぶん一貫していた。
そのあと東京に引っ越してどうなったか。
たぶん原発のことは忘れた。
(いや、福井県に住んでいても、
事故の報道を目にしたり、反対運動を目にしたり、
お前は賛成なのか反対なのかと問われなければ、
「私は原発反対だ」ということを、
いちいち思い出したりはしていなかったかもしれない)
だから、私は
「福島のあとで急に原発反対がぶりかえした人」の
1人ということになろう。
だから、
「福島の被害が現状より100倍や1000倍や10000倍だったら、
お前はもっとはっきり反対するのか」あるいは
「今の100分の1や1000分の1や10000分の1だったら
お前はそうはっきりは反対しないのか」と問うべき相手は、
私自身だね。