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【2019 輪廻転生】

芥川賞「きことわ」

芥川賞「きことわ」を読んでいる。昔の出来事を思い出したり、そのときの人物や建物と長い時間をおいて再会したりする話。語り手の思いの中では昔と今がとけあってひとつのことになっていくようなところが、とても面白い。そこは保坂和志の小説やエッセイにも似ている気がする。

貴子(きこ)と永遠子(とわこ)が最後に会ったのはそれぞれ小学3年生と高校1年生で、それは1984年の夏だったと、はっきり特定している。そうすると、この時私は何をしていたっけ? と思ったりする。

もちろん、急に思い出せるわけはないが、日記でも書いていれば、なにがしか思い出すよすがになるだろう。昨今はブログとかツイートとかにそうした日々のログが残るチャンスは圧倒的に多い。ただ、それをパソコンで検索したりしたときに、日記をひもとくのに似た「懐かしさ」をおぼえるかどうかだね。

きことわ
朝吹真里子