東京永久観光

【2019 輪廻転生】

意外な犯人


ホームズ型の名探偵はおよそ不可能な事件を理性のはたらきだけで解き明かす。驚くべき筋書き。そして予想外の犯人。私たちは「まさか」と叫ぶ。しかし、その犯行が彼にしかなしえない以上、犯人は彼でしかありえない。

では、ここに宇宙という究極の事件がある。「いったい誰の仕業なんだ?」「わかりませんか。あなたですよ。つまり宇宙の真犯人は人間なのです」「……!」

さて、宇宙はいかにして起こったのだろう。

『幸運な宇宙』を何度か読み直し、その説明の全体がやっと少し見えてきた。それを、私自身が常々感じている疑問やこれなら理解できるという表現に置き換えつつ書き留めておきたい。

「生物のように特異なものが出現するには、宇宙はきわめて厳しい多数の物理的条件を満たしていなければならない。なぜ宇宙はよりによってこうだったのか」。著者ポール・デイヴィスの考察はここから始まる。

そして至った結論を一言でいうなら、「宇宙が認識されることと宇宙が生成されることは同じことなのだ」。これだけでは「強い人間原理」そのままだが、それを現代物理学の理論に従って裏付けようとする。そしてたとえばこの道筋なら可能かもしれないという一案が試みられる。それは多宇宙、万物理論のいずれでもなく、もちろんインテリジェント・デザインでもない。

…またもや予告編のみ。また明日。

http://d.hatena.ne.jp/tokyocat/20091103#p1からの続き)