東京永久観光

【2019 輪廻転生】

心の満ち欠け

太陽は早寝早起きなのに、月はだいたい夜型で、しかも日に日に激しくなる。ところが明け方 急にやる気満々になったりする。親近感をおぼえること この上ない。

風景としては身近だが、天体である月が都心の高層ビルをかすめているのを眺めていると、この世が置かれている空間や時間のサイズが少し実感できた気になる。

そうしてぼんやり考えるのは、毎度のことながら、「なぜ、すべてがないのではなく、このように何かがあるのだろう」ということだ。「人間や都市が誕生しなかったこともありえた。地球や月が生成しなかったこともありえた。この宇宙が出現しなかったこともありえた。いやそれだけではない。この宇宙が出現するベースになった根本のところをふくめて、すべてがまったく無であってもよかっただろうに、なぜそうではないのだろう」

私はたまに、その「すべてがなぜあるのかわからない」ことが、とても不安に感じる。なぜなら、その答えは見つけようがなく、すなわち私たちすべての存在は無根拠だからだ(神というものに思い当たらないかぎり)。

といっても、世界の存在が不安なときは、たぶん生活や仕事に不安があるのだ。

日々が辛いときや悲しいときは、月をみても都市をみても辛く悲しいにちがいない。逆に、月の満ち欠けや都市の賑わいがむやみに楽しい人は、きっと毎日が楽しくてしかたないのだろう。恋する人や旅する人のごとく。

それなりに平常にやっているときは、「すべてがなぜあるのかわからない」ことが、不安というほどのことはなく、とりたてて悲しくも楽しくもなく、ただ「不思議だ」と形容したくなる。それは自分の人生の道程が「結局まあなんだか不思議だよね」と基本的には思っているからかもしれない。


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答を知らぬきみにできるのは
ただ明けてゆく青空に問いかけること(谷川俊太郎
http://www.youtube.com/watch?v=2NrLLhhprp8&NR
(これまた毎度のことながら)


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「心の満ち欠け」ピアノ曲が出現
http://tenawanboy.mitelog.jp/digital_x/2009/04/post-e087.html
(世界が消滅してもなおGm7♭5は存するのだろうか?)


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いかりこは笑っている
http://d.hatena.ne.jp/Erlkonig/20090420/1240225973
《世界の構造に対して向けるべき憎悪を世界の内容物そのものに対して向けるべきではないと、いかりこはその理性によって知っている》
(TB経由)


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写真追加(4.24)