忘れていた。これもざっと読んだ。DTMをやっている友人の推薦で。
★ポピュラー音楽理論/北川祐 ASIN:4845611481
楽曲には通常 コードという記号が小節くらいの単位で自然発生的に付いてくる。コードはもちろん和音を表す。しかしいろいろ考えてみるに、コードとはメロディーがもつメタ情報だ。つまり、メロディーの各部分は楽曲全体という文脈においていかなる意味をもって存在するのか、それを規定するのがコードということ。
ドライブをしている時、道路網全体のなかで今はどこからどこに抜けるべきかを示す矢印がコードだと言ってもいい。あえて料理にたとえれば、そのひと皿をどう味わうべきかは、それがメインディッシュか前菜かスープかによって、あるいは中華風なのかイタリアンなのかによっても変わる、みたいなこと。もっと単純に コードは出汁、メロディは味 でもいいか。
さてしかし、楽曲にコードが定まっているとみなした場合、そこで展開するメロディーはそのコードに縛られ自由ではなくなる。それを嫌い、コードをいわば脱構築する手法が生まれた。すなわちそれがモード。マイルス・デイヴィスがビル・エヴァンスらと作り上げたアルバム『KIND OF BLUE』の「So What」や「Flamenco Sketches」がモードの誕生とされている。
しかし、これまで私はモードが今ひとつわからなかった。さまざまな本に説明がありこの本にもあるが、モードってそもそも何なのかが分からなかった。(いわばメタ情報ばかりで本来の情報が得られなかった)
ところが、NHKのテレビ番組でマイルスの音楽を紹介したものがあり、ガイド役の菊地成孔がまさにモードとは何かを解説している。今回それをYouTubeで見たところ…… やっと謎が(ひとつ)解けた。要するに、マイルスがこのセッションでメンバーに示したのは、小節ごとにコードが記された従来の楽譜ではなく、小節ごとにスケール(音階)が書かれた楽譜だったというのだ!
http://video.google.com/videoplay?docid=-5643623681184321405
(楽譜実物は25分、菊地の解説は26分あたりから)
◎KIND OF BLUE asin:B000002ADT
◎Flamenco Sketches(名曲) http://www.youtube.com/watch?v=Tpvpyb-PXM0
(追記3.14)「中華風なのかイタリアンなのか」というのは、コードよりモードの形容にふさわしいかも。