東京永久観光

【2019 輪廻転生】

2009年2月の読書本


映画はおそろしい/黒沢清 asin:4791758706
黒沢清の映画の感想はなかなか整理、説明しがたいのだが、それと対照的に、この本で黒沢清は映画というものについてきわめて平易に率直に語っている。だからその感想なら一言で説明できる。黒沢清はこう言いたいのだ、「映画をそんな決まりきったやり方だけで作るなよ、見るなよ」と。  →続き


グッド・バイ/太宰治新潮文庫asin:4101006083
生誕100年なので太宰治を少しだけ読む。 →続き


無駄学/西成活裕 asin:4106036231
『渋滞学』が以前話題になった研究者。こんどは『無駄学』を著した。冒頭で工学系と理学系が乖離しているという話が提起され、それに絡んで「無駄こそ役に立つ」という主旨になるのかとも思わせたが、まったくそうではなかった。「無駄とは予測されるベネフィットから実際のベネフィットを引いた分である」といった定式化(まあそれは当たり前ともおもえるが)をしたうえで、いわば科学的に正しいライフハック講義が続く。 →続き


雑誌『科学』2004年7月号 特集「言語の起源」 
ひとりでものをおもうとき、だれかとやりとりするとき、我々はのべつまくなしに言語を使っている。言語はまるで空気のようにそこにある。 →続き
http://www.iwanami.co.jp/kagaku/KaMo200407.html


不可能性の時代/大澤真幸岩波新書) asin:4004311225
21世紀も10年近く経過した。世界は今どんなかんじ? と問われたら、私ならやっぱり「新自由主義テロリズム」と答えるだろう。若い世代は知らないかもしれないが、この社会はずっとこうだったわけじゃない。そして、その特異な構図の正体や根拠を正確に言い当ててくれる批評を、この10年間ずっと探していたようにも思う。たとえば東浩紀は「動物化」や「環境管理」というキーワードを早々に示した。同じく大澤真幸もこの今を照らし出そうとし続けている。その批評は東に比べて複雑で難解だ。今という時代はそれほどややこしくないのではないかという疑いも生じる。しかし、大澤は分析の方法が難しいだけで、「不可能性の時代」や「現実への逃避」として示す解答が難しいわけではないだろう。まだ全体の理解に至れない。もう少し読む。


野菜の便利帳 asin:4471033816
売れているらしく平積みしてあった。身近な野菜と果物の小辞典。コンパクトな説明とカラー写真。主な栄養素、保存法、ちょっとした食べ方なども。台所の常備本に。(うちは常備本がそもそもきわめて少ないが)


面倒くさがりやのあなたがうまくいく55の法則本田直之 asin:447979249X
これもベストセラーらしいので買った。1000円を惜しんで図書館にリクエストし借りに行ってまた返しに行くという面倒なことをするくらいなら、今すぐ買って読んで捨てたほうがはるかに得だよ、といったアドバイスが書いてある。


第三阿房列車内田百間新潮文庫) asin:4101356351
長崎にも行くが房総半島も連泊してめぐる。たしかに千葉は東京から近いわりに電車ではなんだか面倒。日帰りしたいがそれには早起きしなくてはならず、昼まで寝ている者には永久にかなわない。ところで、「内田の阿房」もしくは「阿房の内田」と略称してかまわないらしい。本人がそう書いている。解説はなんとグレゴリ青山が漫画で記していた。暢気同盟。ついでに別冊太陽「内田百間」(2008年9月号)も眺める。写真多々。への字口は元からのようでもあり、年齢とともに増してくるようでもあり……


木田元の最終講義 asin:404408601X
《私は、ハイデガーのこの『存在と時間』を読みたい一心で哲学の勉強をはじめた男であり、ほとんど半世紀間この本を読みつづけてきた。さすがに少し分かってきたような気がする》(p.123) 謙遜でないとしたら、私がこれから読んですっかり分かるにはいったい何年?


ポトスライムの舟/津村記久子芥川賞
読んだと思い込んでいたが、まだ途中だった。


道草/夏目漱石
これも途中。


それにしても、読んでいる時間より振り返る時間のほうが長いのではないかという恐ろしい予感。