東京永久観光

【2019 輪廻転生】

湯ーリカ!


養老孟司の人間科学講義』に続いて『茂木健一郎脳科学講義』。
このネーミング安っぽいから止めたほうがいいと思う一方で、
読んでいくと、どちらも、そのとおりのテーマをめぐる
「両人の思索の総まくり」という一冊になっているから
これでいいのだという気もする。


ふたりは今や、
バカの壁』が売れたちょっとバカな人、
テレビの『プロフェッショナル』に出ている素人、
という印象にもなっているようだが、
そんなことはまったくどうでもよい。


言語や意識の捉え方の核心について、
これほど示唆の大きい本は、
どちらもこの世に2冊とは存在しない。


茂木さんの本はインタビューなのですいすい読めるのもよく、
だからというわけではないが、
このあいだ風呂で読もうとしたら浴槽に落としてしまった。

ページがびろびろ。だがそのほうが、
ばりばりめくったり、端っこをたたみこんだり、
本をぐいとつかんだり、机にたたきつけたりと、
頭の沸騰に応じた読者のそんな自然な行為を、
柔らかく受けとめてくれる。
そのような物体へと本は変質したのだ。


同書のなかで茂木は「統合失調症って何だろう」という関心をめぐり
こんなことを言っている。
神経伝達物質のちょっとしたバランスの崩れで、
 脳というのは違うフェーズになってしまう。
 水が氷になったりするのと同じです。
 やっぱりわれわれは瀬戸ぎわで生きていて、
 脳はかなりきわどいところで活動しているんじゃないでしょうか》p.154


本もきわどいところで読むと、
その物質的位相のにわかな変転に立ち会えるのだ。


ちくま文庫はしかしいつもあなどれない。
「どの本屋も文庫は一種類しか置けません」
という法律ができたら、ちくま文庫の本屋に入りたい。


きのう、そろって所得の多い知り合いの兄弟に会い、
魚民等で大いにおごってもらった。
私のブログをもっと更新せよとのことだったので、
些末なことをたまにささっと書くよりは
些末なことをしばしばささっと書こうと決意し、
今書いた。ファストフードにファストブログを。


養老孟司の人間科学講義 asin:4480091718
茂木健一郎脳科学講義 asin:4480424741