東京永久観光

【2019 輪廻転生】

故障中


それより、我々がみな「働く機械」とみなされていることには、あまり文句が出ないのは、いったいどうしたものか。まあちょこっとしか働かない機械も多いのだけども。万歳!

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ふと思った。身体を捧げる代わりに金銭をもらえるのが会社なら、金銭(税金)を捧げる代わりに身体をもらえる(守ってもらえる)のが国か。いや、これまではそうだったのだろうが、どうも最近では、会社は金をくれないし、国も身体を守らない。

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一般に、企業はグローバル化し空前の規模で強大化。それに譲るようにして政府の権限は減じ、国境もなくなったと言われる。もはや私を守ってくれるのは国ではなく企業、……そんな時代なのかというと、そうともかぎらず、企業は企業で社員すべてを守るつもりはなくなりつつある。

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ともあれ、経済はたしかにグローバル化している。つまりドル(あるいはユーロ)さえあれば怖いものなし。しかし、そこへいくと、政治はまだグローバル化には遠い。たとえば国連なんかに比べたら、国というものは、我々の身体や金銭の扱いについて、よほど強く細かく踏み込んでくる。

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ちなみに、企業と政府の権力争いから、ヨーロッパの中世などで教会・領主・国王のパワーバランスが変動していった歴史を、類推して実感できるのかもしれない。あるいは平安末期の荘園領主国司の力関係とか。