東京永久観光

【2019 輪廻転生】

私の情報感染にもタミフルを


わが住まいは姉歯さんが構造計算したわけではないのだが、さて震度5強には耐えうるのやら…。木造なんて面倒みきれませんよ、自己責任で死んだり助かったりしてくださいね、というのが法なのかもしれないが。下流住宅?

新型インフルエンザもなんだか今にも出現しそうな気配だ。そのときは誰も免疫がないので世界中に蔓延して死者は今までの比ではなくなる恐れがある、とのこと。ワクチンもすぐには出来ず、そこでタミフルとやらの出番らしいが、数は足りるのか、強い副作用があるみたいだけど、といった指摘も聞こえてくる。

新型インフルエンザは鳥インフルエンザが変異してといった説明だが、それとは別に、そもそもインフルエンザは10年〜40年周期で新型が発生するという話もある。かたや関東の大地震も、周期性があってそれで今にも起こるぞと警告されている。いずれも今がたまたま嫌な巡り合わせということになるのか。


しばらくニュースを見ていなくて、暇になったら急に心配ごとが増えた次第。


それにしても、地震が来るかも家が倒れるかもとか、インフルエンザで死ぬかもといった不安は、50年か100年昔ならもっと漠然としたものだったろう。科学的な知識や情報がいきおい明瞭になった現在では、不安もまた明瞭なものにならざるをえない。といっても、それには知識や情報の適正なリテラシーが条件であり、常識が足りなかったりニュースをフォローするのが面倒だったりすれば、明瞭な知識や情報から明瞭な対策には到らず、かえってあいかわらずの漠然とした不安だけがひたすら拡大する。


新型インフルエンザに関するQ&A(2005年11月15日 厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/02.html



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ちなみに、自然的な流行(たとえばインフルエンザウイルスの蔓延)と、社会的な流行(たとえばインフルエンザの不安の蔓延)では、伝播のダイナミクスが異なるという理論が、最近のネットワーク科学のなかで指摘されていたのを思いだした(ダンカン・ワッツ『スモールワールド・ネットワーク』ASIN:4484041162)。

といっても非常に単純な理論。ある人がインフルエンザに感染するかどうかは、その人の周囲にインフルエンザに感染した人が何人いるかで決まる。それに対し、ある人がインフルエンザの不安にかぶれるかどうかは、その人の周囲にインフルエンザの不安にかぶれた人が(何人いるかではなく)何割いるかによって決まる。――というもの。つまり、「多種多様の人々や情報に触れていればいるほど、そう簡単にはかぶれませんよ」という当たり前の感覚が理論化されているわけ。


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もうひとつちなみに、エイズは性的接触という極めて人為的なネットワークを介して感染する。その人の周囲に患者が何人いるかはあまり関係ない。そこがインフルエンザ等とはまったく違う。要するに友人知人にしか拡がらない。そんな当たり前の事実も、最近のネットワーク理論を通して私は初めて認識し、感慨ぶかかった。