リクルートが無料配布している『R25』は、
多彩な情報がみごとに濃縮してあり、
レイアウトも表紙から中身からきりっとすきっとしていて、
ウケがよいのもうなずけると思った。
先週の特集「株式入門講座」がまた実によく出来ていた。
文章がお話仕立てになっているおかげで、
株をまったく知らない人をすうっと引き込んで
「なるほどなるほど」と身近な感覚でツボを掴ませてたに違いない。
優れもの。イラストも笑う。
小説がどうのこうのと下に書いたけれど、
このお話だって小説みたいなものだ。
株の知識を得るのに役立つからといって、差別はできない。
事件が起こって犯人が見つかるからといって小説でないわけではないがごとく。
恋人が死んでオーストラリアへ出向いても小説なのだ。
負けたくなかったら、
株の知識以上にもっと本当に役立つと信じられるものを埋め込んだらいい。
さて、R25はどうでもよくて、株もどうでもよいのだが。
ただ、その株とかGDPとかが、
もう長いこと上がったり下がったりを繰り返しており、
そのせいで日本の経済といったら
「とにかく停滞、横バイなんだ」という観念が
こびりついてしまっている。
しかしその背後で、
実は一方的に下がりまくっているものがあることに、
我々はもっと気づく必要があるのではないか。
ズバリそれは貧者の労働条件。がんじがらめの生。
朝も夜も満員電車のそこの人、いかがですか。
大いに参考になった本
渋谷望『魂の労働』ASIN:4791760689
斎藤貴男『安心のファシズム』ASIN:4004308976
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あともういっこ大いに参考になりそうな本があった。
カール・マルクス『資本論』 ASIN:4003412516
というか、なぜかこれは今週のR25のお勧め本でもある。
『安心のファシズム』は直接そういうテーマではないが、
人質バッシング、自動改札や携帯電話による個人の捕捉、
監視カメラ、社会ダーウィニズム、といったことに関し
調査取材し分析と論考をまとめた本であり、
それを読んでいると、
現在の労働状況に通じるところは大きいと感じられてくる。