東京永久観光

【2019 輪廻転生】

http://d.hatena.ne.jp/TRiCKFiSH/20040914#p1によれば
《日本では正社員の既得権益護持のために、「雇用の流動化」とか言われている》だけ。
しかも《非正規雇用者が正規雇用者になるための門戸は、とても狭い》。


その一方、
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20040923AT1F2201J22092004.htmlによれば
《人数の減った正社員の労働時間は逆に長くなっている。》


そんななかで次のような声もある。
http://d.hatena.ne.jp/sarutora/20040923#c
《ある業界の労働者がストをしようとしたり、公務員の労働条件待遇改善が話題になるたびに、もっとひどいとのがあたり前といって批判し、勤労者どうしで足の引っ張り合いをしている日本の構図》。(fenestraeさん)
さらに《公務員に対してなど、「おれたちはこんなに苦労してるのに、あいつらは許せない」みたいな敵意は、ほんとにすごいですよね。「勤労者どうしでの足のひっぱりあい」という雰囲気、強まっているように思います。》 (sarutoruさん)


上記を的確にまとめているのが
http://d.hatena.ne.jp/flapjack/20040925
そしてこう問いかける。
《イギリスに住んでると(…)日本は消費者でいるには天国だと思うけど労働者をやるにはきつい国だとやはり思わざるを得ない。》
《そういう意味で、プロ野球での選手会のストとそれに対する人々の支持というのはかなり大きな変化ではないか、と思ってる。けど、そこはどうなんでしょうかね。》


 *
 

いずれも非常に胸にしみる議論だった。
これについて二言、三言。


プロ野球選手のストライキとその勝利は画期的だったと思う。それにしても、私(たち)は要するに他人の年棒(推定○億)を守れとエールを送ったわけで、ゲームと勘違いしているんじゃないかと思うほど立派なこの心がけは、いっそう画期的だった。じゃあ今度は、外野からではなく当事者として互いを叱咤激励しようではないか。「自分らのリストラだって宿命などと諦めず闘おうぜ」と。日本の労働者諸君(私のこと)は、自分のことになると妙に物分かりよく潔くなってしまう傾向があって、給料が下がろうが馘になろうがデモやビラの一枚すら意地汚いような気がして思いもよらないように見える。
(参照 http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20040908/mng_____tokuho__000.shtml


かつて中国を旅行したとき、国営のホテルや食堂、デパートでは、社会主義の慣習が十分残っていたのか、いわば「労働者は天国、消費者は邪魔者」だった。このカルチャーショックを共有する者どうし「中国人民=社会主義=人間以下のバカ」呼ばわりするのが、旅行者のマゾヒスティックな楽しみでもあった。私も半分以上それに同調したが、それでも「労働者が商品ケースの上に丼を乗せて食事しながら客に物を売ってやる中国よりも、お客様という神様に対して労働者は笑顔を絶やさず過労死の覚悟すら辞さない日本のほうが、よりマシな社会であるとは到底思えない」という気持ちも強く残っている。


ここ10年ほどを眺めたかぎり、私たちの多くは「過労死してでも正社員」という価値からどうにも抜け出せないし、その価値を疑いすらしないようになってきたと思う。これが悪い方向かどうかはさておくが、どうみても日本はこの先当分この方向に転がるばかりだろうという嫌〜な予測はつく。そんななか、自分の惨状には手も足も怒りもグーの音も交通費も残業代も出ないような水飲み労働者諸君が、どういう了見か、プロ野球の高額所得の維持には本心から走り回った。それと裏腹に、《公務員に対してなど、「おれたちはこんなに苦労してるのに、あいつらは許せない」みたいな敵意》を持ったりもする。しかし、こういう錯乱のようなエネルギーでしか、沸き立つ感情や信じられる思想を得られないのが、私たちの現状ということではないか。


もはやこうした錯乱をうんと増幅することでしか、この流れに逆うほどの変化は起こりようがないという気がしてしまう。でもそれはつまり「テロを待ち望む気分」ということなんだろうか…。いやダメだ、自分の首切りもよくないが、他人の首切りもよくない! 


 *


追記

http://d.hatena.ne.jp/toni-tojado/20040926
《皆さんの会社にPCはありますか。自分のPCであったなら出社時、退社時に自分宛てにメールを打つことをお勧めします》!

サービス残業に抗する、実直にして怜悧な方法!