東京永久観光

【2019 輪廻転生】

といっても「計画」しか合ってないんですが


キリスト教会テロで「イラク計画実行委員会」なる組織が犯行声明とか(アサヒコム)。ふと「東京ミキサー計画」を思い出す(ASIN:4480029354)。赤瀬川原平らが60年代のパプニング行為にもっともらしくそんな名称を冠していたのだ。有名か。でも毎度思うのだが、偽千円札も櫻画報も路上観察老人力もあるのであり、この人物とその活動の巨大さは、20世紀の最重要項目になるくらいでなければ見合わない。そういえば芥川賞も取っている。

美術手帖』がちょうどその赤瀬川原平特集だ。その中で、誰が書いたか不明だが、訴訟が続行中の「落書き反戦」のこと、はたまた東京都の「ヘブンアーティスト」のこと、などを雑多に織り込んだ記事が目にとまった。いやたとえば、もしこの「東京ミキサー計画」実施にあたって、まずは慎太郎の都庁にお伺いを立て、芸術であるかどうかの裁断を仰ぎ、公共での活動を認可していただく、などという一連の素敵な手続きを想像してみよう。馬鹿馬鹿しさの熱中症で即刻倒れてしまいそうじゃないか。

「東京ミキサー計画」と「ヘブンアーティスト」のソリの合わなさは、アルカイダホワイトハウスの齟齬と同じくらい絶望的に深刻だ。だがそれはそれとして、この「イラク計画実行委員会」には「東京ミキサー計画」を受け入れる余地があるのだろうか。あるいは「東京ミキサー計画」なら「イラク計画実行委員会」にどう対処するだろう。興味深いが難問だ。とりあえず、「東京ミキサー計画」は出現したけれど「イラク計画実行委員会」は今のところ出現していないような都市に住んでいることを、愛でたく思うばかり。

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まったくついでながら――。舞城王太郎ドリルホール・イン・マイ・ブレイン」では、語り手である「俺」の頭に穴が穿たれたている。その穴を裏返すと、あら不思議、脳内の「僕」が住んでいる世界が出現。その裏返った世界では、くぼみだった穴が鉄塔という出っ張りとなって現れている。ちょっと赤瀬川原平宇宙の缶詰」っぽい。