東京永久観光

【2019 輪廻転生】

ブラウン管の中


ミスターは病床にあり、原辰徳は解説席に回り、松井秀喜は敵陣でホームラン。そんな巨人。固有名は確定記述の束に還元できない、とはこのことか(「巨人」は「長嶋が見守るチーム」でも「原監督が率いるチーム」でも「松井が4番のチーム」でもない)。毎年毎年募っていく「それってほんとに巨人?」。ましてや「1番センター柴田、2番セカンド土井、3番ファースト王、4番サード長嶋、…」なんて一体いつの話ですか。馬鹿と呼ばれつつ野球は巨人、そんな心すらいつしか完全に消えうせているところに、歳月のやたらな長さと現在の空々しさを思うべきなのか。巨人軍は永久に不滅でも、巨人の中身は常に変動している、という当たり前の事実が嫌になって人は老けていくのかな。

では、日本はどうだろう。同じ歳月に日本もまた中身はあまりに変わったはずだ。でもこれを「日本」と呼ぶ。何が同一性を支えるのか知らないが。私は巨人ファンである程度には日本ファンだったかもしれないと思い返してみるが、こっちもそのうちやめてしまう可能性はないのだろうか。それとも人は昔を懐かしみ今を否定するとき初めて日本ファンになるのか。あるいは21世紀にもなっていい加減そういうのはやめたほうがいいのか。というか、日本ファンっていったい何を応援すればいいのだろう。

……などと無常観に耽っていたら、そういえば監督は堀内なのだった!