東京永久観光

【2019 輪廻転生】

ただの子供好きなら許される?


いわゆる「警察官の女児連れ去り事件」。つい余計なことを考えてしまうのだが、ふつうに幼児をかわいがるという行いは世間では許される。むしろ促される。この男も、車に乗せずに子供の手を引いて道を歩き、2キロでなく50メートルくらいで別れていたら、どうだったのだろう。危害を加えるつもりなどまったくなかったとしたら、どうだろう。少なくともそういう報道はされていない。ただし刑法上は、自分でものを考えないような幼児は、だましてでなくても、ただ連れて行くだけで誘拐と同じ罪になる可能性があるという(未成年者略取)。

これが、他人の飼っている犬や猫を車に乗せて連れ去ったなら、どうか。それは窃盗とかそういう罪か(よく知らない)。未成年者略取は、子供を危害から守るのが目的だろう。でも、むやみに幼児をかわいがるだけの人も少し注意しないといけない。まあ常識的には、幼児は親のものだ。犬や猫が飼い主の所有であるのに似て。親や飼い主以外は手を出すなという前提が、やはりそこにあるのかなと思う(その是非はまたゆっくり考えるとして)。

このニュース、私も『シンセミア』の巡査を思い出した(富士日記2.22と同じ)。ただし『シンセミア』では子供は性愛の対象だった。もちろんこのニュースはそんなことに一切触れていない。それでもなんとなくそうした連想もしてしまうのが、禍々しい日本の私だ。それは幼児を連れ去る人が悪いのか、それとも連想する人が悪いのか、微妙。その人が警察官だったことについても、「まったくけしからん」と「どうせそんなところさ」のどちらの反応が正当か、そこも微妙。

これ以上書くと「おまえ鬼か」と言われそう。「いたいけな子供をおまえになど金輪際委ねるものか」とすべての親から拒絶されそう。でもそのほうが助かるという人は、ただの子供嫌い。

アル・パチーノジーン・ハックマンが共演した映画『スケアクロウ』には、ちょっとこれに似た場面がある。そこからラストまでは何度見ても泣いてしまう。思い出しただけでも泣けてきた。