東京永久観光

【2019 輪廻転生】

(ちょっと追加)

私が23日の日誌に書いた中級やや難』という括り方を、仲俣暁生さんがウェブで取り上げていた(!)。80年代にはこうした層だけがなかった、という見解でそこに期待している。私は『中級やや難』を『中道やや左』になぞらえてシニカルに眺めたわけだが、そこは当然アンビバレントな気持ちであり、そうした知識を私自身がスノッブでなく消化したいという願いも隠れていた(だから同感です)。あのころ「むやみに難しいものを理解したつもり」が流行ったのだとすれば、今ようやく「いくらか難しいものをきちんと理解しよう」という姿勢が出来つつあるとも言える。そんなわけで、やや気を取り直し、雑誌『SIGHT』を『中級やや難』の一例として素直に評価したしだい(上)。

話題の『経済学という教養』(稲葉振一郎)が「素人の、素人による、素人のための経済学入門」と銘打ち、素人こそ目利きになれと呼びかけているのも、やはり似たような志向だと私は思う。読み始めたばかりで、まだ8分の3だが、もうはっきり「今年のベスト1」と宣言しよう。……あれ、似たようなことを誰か言ってたっけ? 誉め言葉のインフレターゲティングで知の景気を少しでも良くしようとか? いやいやそんなことはない、まさに血肉となる本である。それはまた後日。