東京永久観光

【2019 輪廻転生】

きょうはこれで精いっぱい

●平和ボケと言えばたぶん私のことだが、それでもこのイラクの惨状を知ると「いったい誰が何をしたらいいんだ!」と、ロマン主義的ながら激昂してしまう。米軍の動向が最大の鍵になるのか。では日本は? 今まったく動かないことが最善なのか?――日本のためにではない、イラクのためにだ。●考えてみれば、日本はイラク攻撃を後押ししてしまったのだから、きわめて厄介だけれど、救いの手を差しのべる責任というものがあるだろう。自衛隊であれ何であれ、それが逆効果ならしようがない。だがもし、本当にイラクを救える手段があるのなら、迷ってる場合じゃない。「世界のために日本は○○すべし」といった大げさな表現を、十年に一度だけ使っていいのなら、今がその時か? それほどでもないのか? ●しかし戦地に赴くとなれば、自衛隊員に限らず死ぬ覚悟をするだろう。そうなったら国は、万一の補償金とは別に、その任務自体に対する報酬として、たとえば誰かの退職金と同じ8千万円くらいは用意してしかるべきではないか。そうでなければ、行くほうも行かせるほうも納得できないだろう。もちろん命は金ではすまない。だがそれにしても命は今あまりに安すぎる。売り買いしないのが一番だが、売り買いせずにいられないのなら、もっともっともっと高く売れ、もっともっともっと高く買え。ゲリラ・テロ軍も、占領軍も。●イラクの戦闘を冗談でやってる人はいない。みな本気だろう。生きるの死ぬのという時に、ロマン主義のひとつも駆動しないではやっていけないに違いない。それに比べて私の意見は、マジなのかネタなのかわからない。それは、その戦闘をテレビで見物しているだけの者として、彼らに合わせてちっとは本気になるべきであるような、しかし一方で、彼らと同じ本気にだけはなってはいけないような、そんな気持ちだろうか。