東京永久観光

【2019 輪廻転生】

台湾の住居、食卓、喧嘩、港

●昨夜はまたもや偶然見かけたNHKBS深夜の映画に引き込まれた。始まって10分くらい経っていただろうか、とにかくぱっと見た瞬間からストーリーがわかろうがわかるまいが最後までもうまったく動けなかった。香港か、中国か、と迷ったものの、まあ台湾だろうと見当をつけたのは、侯孝賢ホウ・シャオシェン)監督の雰囲気やアイテムがそのままだったから。やがて舞台は台湾の基隆侯孝賢の映画でおなじみ)とわかり、そうなるとこれはどうあっても侯孝賢だろう、しかし、だったら、これまで見たことがないにしても、少しは作品名か周辺の知識に思い当たってもよさそうだ、やはり違う監督か、といぶかしく思っていた。●答えは『最愛の夏』という映画だった。ネットで調べると、監督のチャン・ツォーチ(張作驥)は侯孝賢の『悲情城市』で助監督を務めた人で、大いに納得。というか師匠に似すぎか。『最愛の夏』は1999年東京国際映画祭でグランプリも受賞したそうで、すでに有名なのだろう。そういえばこのチラシ、さらにビデオ店ではジャケットも見た記憶がある。ただ邦題の『最愛の夏』をふくめ、軽すぎて「なんだかな」の印象で、まさかこれほど寡黙にして濃厚、慎み深くして悲痛な映画だとは知るよしもなかった。題名やジャケットは当てにならない、こんな紹介も当てにならない、というか、そんなことより、『最愛の夏』は、近ごろ映画をあまり見ていないことを割り引いても、まずめったに出会えない素晴しさ、というのがきょうの結論。●http://www.bitters.co.jp/filmbook/dklt/top.html