東京永久観光

【2019 輪廻転生】

はなわも出演

黒沢清アカルイミライ』をDVD鑑賞。やはり印象に残るのは赤クラゲ。つかみどころなく、もの言わず、他と交わらず、毒を持ち、やがて、帰っていくべきところに、ひたすら流れていく。浅野忠信は、キレたというふうではない。社会と分離せず一体となっているがゆえに、その機構が周到な必然として備わっていたかのような殺人。その浅野忠信が、絶望としてか希望としてかは知らないが、遺した未来が、赤クラゲだったということになるのか。十代の少年集団。彼らが段ボールを蹴りながら歩いていくラストは、やけに清々しく、終わるのが惜しかった。「未来は明るい」という主張は、未来が若者に属することと同様、いわば絶対の理屈かもしれないのに、ふだんはそのことを忘れている。

●20××年に小惑星が地球に衝突する可能性がある。そんなニュースをつい最近読んだ。自分が死ぬのは想像の外なのだが、ともあれ地球のほうは滅びてしまっていいかと思う。その思いはどこから来るのだろう。もしも小惑星が東京を直撃し、地上のすべてが燃え尽きてしまったとき、あの赤クラゲの一群だけが近所の川を行くのだろうか。それを私は見ることができない。