東京永久観光

【2019 輪廻転生】

言語

ニュートリノと言葉の確実性

ニュートリノに質量があると宇宙を説明する理論のすべてが覆るらしいが、同じく、言葉も、1つでもいいかげんに使うと、その影響は言論の果てまでツイートの果てまで及ぶ。とりわけ「差別」や「表現の自由」といった言葉はそうかも。あるいは「私が」か「ど…

言語の未来を電算機が見出すか(雑誌WIRED特集より)

雑誌『ワイアード』が「ことばの未来」という特集をしていて、これが非常に面白い。ワイアードはいつも他のメディアにない先端的な視点が、本屋で立ち止まらせる。少し前には「死の未来」という特集もあった。 特集の最初は、言語の翻訳を統計処理によって行…

ツイッター進化論(随時変異)

ツイッターの言葉はそれを書いた個人や集団の繁栄とは無縁に増殖する。ここから、進化(遺伝子の繁栄)がじつは個体の生死や種の明滅に必ずしも直結しない、という理屈が実感できるかもしれない。増えたり減ったり現れたり消えたりするのは、ひとえに言葉(…

四隅にメタ情報

世界が四角いモニタで縁取られたイメージになってから、もうだいぶたつ。今じゃ、その四隅にメタ情報(それが何であるかの情報)が付いていることも世界の基本イメージになりつつある?とはいえ、そもそも言語とはすべてメタ情報(その現実がなんという現実…

世界史がネットにあるだけでなく世界自体がネットにある勢い

《チェスがインドからサーサーン朝へ移入された経緯が述べられているパフラヴィー語によるシャトランジの歴史物語『シャトランジ解き明かしの書』》とかいう記述をたまたまWikipediaで見かけ、世界史のいかにわずかしか知らないことかと気が遠くなる。まして…

武器にも意味にも変わるもの

言葉はときに石つぶての役割しか果たさない。比喩といえないほど武器として使ってしまう。それにひきかえ、ツイッターの言葉などはきわめて珍しく100%近く意味を伝える。それのみに奉仕する(私はそう思いながら読んだり書いたりしている)いわばツイッター…

言葉は万能!(でもいつ出現した?)

ツイッターとかに目と頭が常時接続する毎日だと、あらゆることは「そうか言葉で表されるんだな」ということに改めて気づかざるをえない。もっと仕事にも接続しろよと思うが、仕事は仕事でものごとの白黒をはっきりさせるにはこれまた言葉(メールなど)が大…

ツイッター進化論(随時変異)

明け方、ネットのどこも読むところがなくなるのは、酒瓶を逆さにしてもなにも出てこない感じ。 *タイムラインにきょうの世界のすべてがあると感じられる度合と、新聞にきょうの世界のすべてがあると感じられる度合。 *書き言葉(ツイートを含めて)が論理…

ツイッター進化論(随時変異)

本も、タイムラインのごとく、かなり複数をとっかえひっかえ細切れに読むのが普通になってきた。こうした「文字を読む体勢の大きな変化」は、長い歴史のなかでそう頻繁には起こらないと思うので、凄いことだ。大昔、黙読は珍しかったとか、立って読んだ(?…

シャルリ・エブド襲撃をめぐって (4)

在特会によるヘイトスピーチは「許してはならない」と思う私だが、桑田佳祐さんが紫綬褒章を使って行ったと伝えられるパフォーマンスは「許してはならない」とは思わない。ダブルスタンダードではないとも思う。一方、ムハンマドを冒涜する表現を「許しては…

途中を抜けない人間の原理

文章でも旅行でも料理でも、先の見通しが立たずまったく出来そうになくても、始めてしまったらあっけなく最後まで出来た、ということを何度も経験する。これは、文章も旅行も料理も「途中を抜くということが原理的に不可能」だからではないかと気づく。まだ…

人工知能をめぐる冒険 (2)

人工知能が人間の知能をついに実現できそうだ――という話。そこから実にいろいろな考えが浮かんでくる。とりあえず1つ。 人間の行いのうち人工知能が得意になって真似できそうなものだけを「知能」と呼ぶのだろう(=そうでないものは人間の行いであっても「…

人間解散、人間バンザイ =人工知能をめぐる冒険(1)=

人工知能を研究する松尾豊さんという人の話。https://www.youtube.com/watch?v=U-O4eINZNXE(ビデオニュースドットコム)知り合いに教えてもらって聴いた。たっぷり2時間あまり。とても明瞭で、このテーマの本質がよく盛り込まれていると思えた。人工知能と…

世界を真正面から見てはいけません

ある物を望遠で見るときと広角で見るときでは、受けとめる気持ちは異なるだろう。同じく、ある物を真正面から見るときと斜めから見るときでも、受けとめる気持ちは異なるだろう。しかし、その違いは明白に図式化されてはいないようだ。つまり「映像の文法」…

★分析哲学講義/青山拓央

哲学が何の役に立つのだ?「僕ってみんなと違って昔から変なことばかり気になって妙に考えこむタチだったから、ずっと黙ってたんだけど、そうかこれが哲学だったんだ!」という僥倖は少なくとも得られる。冒頭の講義1で著者はそんなことを述懐している。(…

ニューロン駆動システム

あるコンセプトやイメージが言語に伴われて初めて動き出すということはザラにある。言い換えれば、ニューロン群の様々なネットワークは、言語による札を貼って束ねておくからこそ、我々は自在に使いこなせる。言語記号がこんなに便利なのは脳の外に整理され…

思考と言語

思考と言語はどう関係するのか。 これは当然ずっと気になっていた。 そのとき、 思考と言語は両方とも、 意識というか脳というか心というか、 なんらかの同じ土台に同じように生成される現象だろう。 そう捉えていた。 ところが、この間ふと気がついた。 思…

★言語学の教室―哲学者と学ぶ認知言語学/西村義樹・野矢茂樹

野矢茂樹が、認知言語学とはいかなる学問かを、その専門家である西村義樹に一から教わりながら、どんどん突っ込んでむしろ自身でスパっとまとめ、二人で大いに納得するという一冊。速い、うまい、易しい。 最初に、認知言語学の言語学における位置づけやチョ…

生態系ばかりが驚異ではないよね

この世における複雑なネットワークとは何だろう。生態系はそれを代表する一つだろう。生物を外部から決定づけるネットワークだ。一方、生物を内部から決定づけるネットワークは代謝系だと言える。脳のニューロンによるネットワークもまた、代謝系と並ぶほど…

進化元年へ

2014年から私の元号を「進化」としよう。 ▼アリもフジツボもサンゴも殺せない奴 http://www.youtube.com/watch?v=IGJ2jMZ-gaIアリの巣にアルミニウムを流し込む動画を見て思った。「これはしかし、生物としての良心が痛む」 このとき私は何を感じているのか…

おまえのゲノムでは無理なのだ

「これだけで話せる!人間語」――というタイトルではないが そんな主旨の論文をチョムスキーは2002年に発表した。その共著者の一人にマーク・ハウザー(Marc Hauser)という人がいる。どんな人かと思っていたが、日経サイエンスに「知性の起源」という記事を…

黒意識

観測できない暗黒物質や暗黒エネルギーが宇宙の大半を占めているはず、という話は、たとえば意識に対する無意識の大きさ、回想される記憶に対する回想されざる記憶の大きさ、といったものに似ていないか。暗黒物質と暗黒エネルギーは、現在の物理学的なセン…

ダダ漏れ星人

「Twitterにより『脳内ダダ漏れ』の人が続出」という趣旨のことを宮台真司が述べたそうで、たしかにそのとおりだと思う。とはいえ、そもそも脳内のことを自在に外に出せるのは言語を使う人間だけだ。動物の脳内はほとんど漏れてこない。とはいえ、人間でも脳…

もしコンピューターにモニターが無かったら

Sometimes to take a major step forward, you have to completely change direction. 私もそうありたい。 * それで、まったくの妄想だが、新型Mac Proにはモニターがないとか? * ★しかし考えてみるに、 人間の脳には、もともとモニターが無い。 「字」や…

ゾウの鼻、クモの巣、ヒトの言語

そういえば、まるで靴をはくように、まるで眼鏡をかけるように、私の手はマウスを持っているな〜、いつもいつもいつもいつも。(というか早くスマートフォンを持てよ、というところだが)だけど、このマウスがあるから、世界無名賢者たちのツイートをいつも…

鼻歌でツイート

みんな、気持ちをいちいち言葉にしてツイートするけど、気持ちをいちいち鼻歌にしてツイートできるといいね。ただ、「かなしい」というきみのツイートは、言葉であるがゆえに、「かなしい」という他のだれかのツイートと、確実に連結し、想定どおり拡散する…

言語論2013〈第1夜〉

『ひとのことばの起源と進化』(池内正幸)という本に、こんな例文が出てくる。 「菜々子は隆史がごはんを食べたと思った」 これってきっと松嶋菜々子と反町隆史だね! そうかと思えばこんな句も。 「由紀恵の姉の車」 こっちは仲間由紀恵のことかな? それ…

世界(外)→脳(内)→言語(外)

動物は、脳(意識や記憶)があるから、外部世界を、自らの内部に再構成できる。そして人間は、言語があるから、自らの内部に再構成された世界を、ふたたび自らの外部に再構成できる。すごいことじゃないか!でまあ、そんなふうに人間がそれぞれに取り込んだ…

読んでも読んでも

「喉元すぎれば熱さ忘れる」というが、分厚い本にぎっしり記された文章を読んでいても、ページを過ぎれば内容を忘れているのは、どうしたことか?そもそも、喉を通り過ぎた食べ物のことを我々はどれくらい覚えていたり忘れてしまったりするものなのだろう。…

読書記録(追加)

★記号と再帰/田中久美子 ぜひとも知りたいということが書いてあると思えるのに、ほとんど分からないので進まない。もどかしい。コンピュータのプログラミングのことをぜんぜん知らないのがよくないのだ。この本を読むのに、シニフィアンとは何かをまったく…