東京永久観光

【2019 輪廻転生】

★映画『三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実』

映画『三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実』がアマゾンプライムにあったので視聴した。 現在の日本の問いとしても切実に響く。ナショナリストかコスモポリタンか。コミュニタリアンかリベラリストか。すなわち「天皇」と一言言って三島と共闘できるのかで…

人間の誕生は宇宙の必然か?

私たち人類のような存在がこの宇宙に出現したのは偶然だろうか? ーーこの問いに理論物理学者の多くが「偶然だよ」と にべもないなかで、ポール・デイヴィスという人だけは「偶然のわけがない」と以前から述べている。 偶然でないとは「必然」ということであ…

「2+3=5」がわかるとは?――『〈現実〉とは何か』をめぐって

たとえば「2+3=5」が私たちはわかる。というかこれが「わからない」なんてことがむしろわからない。しかし「2+3=5」で私たちは「何がわかっているのか」と問われると、かなり答えにくい。(たとえば猫は「2+3=5」がわかるのか? 人工知能はどうなのか? わ…

★高慢と偏見/ジェイン・オースティン

ジェイン・オースティン『高慢と偏見』(中公文庫)を読んでいる。 高慢と偏見|文庫|中央公論新社 先日チューリングの映画『イミテーション・ゲーム』で女優キーラ・ナイトレイが印象的で、それを機に彼女が主演の『プライドと偏見』を視聴することになり…

圏論とは?

実はいつも、「これまで知ったり思ったりしたことがなくて、最近初めてそうか!と知ったり思ったりしたこと」だけをツイートしている。それ以外はあまりツイートしていない。(みんなけっこうそうかもしれないし、いちいち言わなくていいことかもしれないが…

★生命とは何か/ポール・ナース

『生命とは何か』(ポール・ナース)を読んだ。 地球上にある生命の始まりが「たった1回」だったことを、著者は「驚くべき結論」と述懐する。それを受けて訳者(竹内薫)は《これほど壮大な物語はない》そしてこれこそ、少年期の著者が葛藤の末に捨てた《聖…

数学はスルメなのかという問い

https://twitter.com/kenichiromogi/status/1385451651499057153 《形式化の衝動は本来的に反生命的》 貴重な証言。最近の茂木さんの傾向を垣間見るかんじ。正しいかどうかはわからないものの。 「スルメを見てイカがわかるか!」と養老孟司さんが言ったこと…

★クララとお日さま/カズオ・イシグロ

カズオ・イシグロ『クララとお日さま』感想 https://tokyocat.hatenadiary.jp/entry/2021/03/06/000000 からの続き ↓ 中断していたが再スタート。クララはアンドロイドと思われる。しかし彼女たちは人を選べる立場にない。店舗のショーウインドウで選んでく…

そうだったのか、ディープラーニング

なんと私は今、ディープラーニングが何なのかが、わかりつつある。 『相対化する知性』第2章読書中。 なんで今までわからなかったのか。わからなかったのではなく、今まで知らなかっただけだろう。もっと言えば、単にそれが書いてある本を読まなかっただけだ…

★タコの心身問題

よく寝た。 『タコの心身問題』(ピーター・ゴドフリー=スミス)を読んでいる。少し前に話題だった本。予想を超えてのめりこむ。タコは考える足である。本当にそうなのだった! https://www.msz.co.jp/book/detail/08757/ 「頭足類と出会うことはおそらく私…

★推し、燃ゆ/★クララとお日さま

芥川賞「推し、燃ゆ」を読んだ。タイトルと冒頭のスピード感から、戯画的ノリで暴走していくかと予測したら、違った。ADHDと思われる心の不調が、推し活動と並んで前景化し、学校とネットとバイトの日々を、とろ火で煮込みながら描写していく体。丹精で客観…

★「高度な言語が生まれた理由」(C.ケネリー)

https://www.nikkei-science.com/sci_book/bessatu/51242.html 別冊日経サイエンスもうひとつ『人間らしさの起源』(2020)から「高度な言語が生まれた理由」(C.ケネリー) 《人間の言語のこのユニークさを説明できるような人間特有の生理的、神経的、ある…

情報とは何だ? エネルギーに似ている?

https://www.nikkei-science.com/sci_book/bessatu/51231.html 別冊日経サイエンス『アントロポセン』(2019年)を手にした。去年あたりの流行語大賞でもよかったがそんなことはさておき、「地球の情報容量」(C.A.ヒダルゴ)という記事が目についた。地球に…

★日の名残り/カズオ・イシグロ

『日の名残り』を読んでいる(未読だった)。執事の話だとは知っていたが半端ではない。半分過ぎてまだ銀食器の磨き方がとかやっている。「執事オタク」が歓喜する「執事小説」と言うべきだ。しかしなぜカズオ・イシグロは40歳代の半ばでこのような作品を書…

村上春樹、ロールシャッハテスト

韓国映画『バーニング』(2018年)を少し前に観た。監督は傑作ぞろいのイ・チャンドンなので大いに期待したが、私としては首をかしげたまま終わった。謎が解明せず話が決着しないなんて、まったくイ・チャンドンらしくない。 ところで、私は映画の前半あたり…

読む、書く

言葉は人類史の長きにわたって「聞く・話す」ものだった。近代にようやく「読む・書く」の手さぐりが始まったが、一般人の多くは縁遠かった。「読む・書く」が爆発したの実はインターネットだ。ところが、そのインターネットで「読む・書く」がいよいよ退潮…

免疫的暗黒物質とか、自由エネルギー原理とか、withコイケとか

https://www.theguardian.com/world/2020/may/31/covid-19-expert-karl-friston-germany-may-have-more-immunological-dark-matte 「Covid-19 expert Karl Friston: 'Germany may have more immunological “dark matter”' 」 2020年5月の記事。「免疫におけ…

〈現実〉とは何か(精読中)

https://tokyocat.hatenadiary.jp/entry/2020/12/29/000000 から続く↓ 本は15分ぐらい読むと休憩したくなるが、ネットは15時間ぐらいブラウズしても飽きない。積年の謎だった。しかし理由がわかった。ネットを15時間(いや15日間、15か月)やってたまたま見…

トリスタン和音をめぐって

たとえばCコード(ドミソ)で、ミを半音下げればCm、そこにシ♭を足せばCm7、さらにソを半音下げればCm7♭5(Cm7-5)。これはトリスタン和音とも呼ばれる。ワーグナー『トリスタンとイゾルデ』冒頭の響きがそれだからだという。 www.youtube.com このトリスタ…

2020年 読書記録/映画鑑賞記録

【2020年 読書記録】 <人文系> ★記憶のデザイン ★人間以後の哲学 人新世を生きる ※冒頭のみ <ウィトゲンシュタイン> ★『論理哲学論考』を読む/野矢茂樹 ※再読 <国際社会> ★幸福な監視国家・中国 <批評> ★復興文化論 <ベイズ統計 × 量子力学> …

★〈現実〉とは何か/西郷 甲矢人・田口 茂

新型コロナの感染者が全世界では1億人に近づいているようだ。ここまで拡大するとは正直思っていなかった。日本では20万人余りが感染、3000人余りが死亡。多いのか少ないのか。 さてこの話は枕であり―― 暮れも押し詰まり『〈現実〉とは何か』という本に出会っ…

★仏教思想のゼロポイント/魚川裕司

魚川裕司『仏教思想のゼロポイント』(2015)という本を読んだ。ブッダが達したあるいは説いた仏教の核心というものを、一人が書く一冊の本としては、おそらく最適な言葉で完全に整理してある。ほかに仏教の解説本をほぼ読んでいない私だが、「仏教? もう全…

★哲学問答2020/千坂恭二

きのう心理学について書いたあと、別途ぱらぱらと読んでいる『哲学問答2020』(千坂恭二)が、心理学を一刺ししていたので、おおと思った。 https://www.amazon.co.jp/dp/4768458904 《社会学や心理学の特徴は、思想をやらないこと、あるいは思想を回避する…

★感情心理学・入門(有斐閣アルマ)

普通の事務仕事であっても、感情労働の側面は大きい。メールなど書きながらそう気づく。伝える内容より、それを包むムードのほうが、ときには分量が多いし苦心も多いように思われますが、いかがでしょうか。ご承知おきたまわれば幸いに存じます。どうぞよろ…

日本の財政赤字をめぐる考察

<日本は財政赤字がこんなに巨額で大丈夫なのか?> これは個人的にもかなり前から首をひねっていることで、最近だとMMT(現代貨幣理論)が出てきたり、「薔薇マーク」運動を知ったりと、また気になっているが、やっぱりそのつどわからない。 先日は、晴れて…

鬼滅の刃、フランスのテロ、ヒューマニズム(21世紀の啓蒙/ピンカー)

ためしに「鬼滅の刃」をアマゾンプライムで少し視聴。 さて鬼は現実の世にもいるか? 今フランスの人なら教師を残酷に殺した男をそう形容しても大げさではないと思った。妹が鬼になってしまう不条理と絶望も、妹がイスラム国の戦士になってしまった人なら絵…

スタンダール『赤と黒』(読了)

https://tokyocat.hatenadiary.jp/entry/2020/08/20/000000 ↓(続) 『赤と黒』は読み終えている。恋の炎、最後は昼メロかとおもうほど燃え上がる。そしてストーリーは急転直下(文字通り何かが急に落ちてきて終了) ※以下は読書中のメモ(ほんの少し) 《町…

★クオリアと人工意識(茂木健一郎)

茂木健一郎『クオリアと人工意識』を買ってきた。 なにしろ茂木さんが「これは久しぶりに本当に自分で書いた本です!」と先日ゲンロンの東浩紀さんとの対談で胸を張っていたから。 ちなみに、それ以外の多数の本は名前を貸しただけであることを以前告白し東…

★QBism 量子×ベイズ

今週、読書はわりと本気を出した。 『QBism 量子×ベイズ』 私にとっては、量子力学のおさらい、そして、ベイズ確率のオリエンテーション、という感じだった。どちらも予想したより面白かった。(どうせほとんど理解できなくてほとんど苦痛だろうと予想してい…

★スタンダール『赤と黒』(続)

https://tokyocat.hatenadiary.jp/entry/2020/07/30/000000 ↓(続) スタンダール『赤と黒』をまだ読んでいる。 下巻に入ると、ジュリヤンと貴族令嬢マチルドの恋の駆け引きみたいなことが グダグダと続き、それは純真だけど幼稚にも見えて、少々退屈だった…