東京永久観光

【2019 輪廻転生】

映画

『anone』で彦星君が泣くのをみて、『恋恋風塵』でワンが泣いたのを思い出した

『恋恋風塵』の恋人の去り方はあまりにもチープであり、それゆえの本当らしさに泣かざるをえなかったのに対し、『anone』の恋人の去り方は、あまりにも絶妙な展開と迫真の演技ゆえに、本当にはありえない話だろうということを完全に忘れさせるほどで、やはり…

★三度目の殺人/是枝裕和

『三度目の殺人』をディスクでやっと見たが、役所広司の心理の底が隠されたままだったことは、私には面白さではなく不満につながったようにおもう。役所広司や広瀬すずは映画の中でも外でも決定的に好印象の人物なので、ただの悪人である可能性やまったく不…

★明日に向って撃て!

NHK BSでやってた。辺境観光災難映画。これまた映像がはてしなくきれいだ。新たなデジタル処理か(そうでもないようだ)。ともあれ。過去の記憶が鮮明によみがえるかのごとく。キッド「行って後悔したくない」 ――そういう人は旅行に向かないね。いつか私たち…

★映画術/塩田明彦

塩田明彦監督の講義を採録した『映画術』(2014)を読む。映画の本当の見どころとは何か。それは、たとえば物語の展開がどうであるか、人物の心情がどうであるかではない。やはり、それが映画という独特の道具立てや表現形式によっていかに成立しているかだ…

急坂 上る 下る

https://twitter.com/masato009/status/967795301615419392 上記ツイートをきっかけに以下―― 『青春の殺人者』の映像とエンディング曲「 It's Good to Be Home Aga」が、Youtubeにあった(下)https://www.youtube.com/watch?v=qEy7BZqJbts この映画『青春の…

金目鯛

テレビをみながら羽生を「はぶ」と呼んでしまい、世間に合わせているだけの非国民ぶりがバレてしまったのは、誰だ? * このあいだNHKが黒沢清『ニンゲン合格』を急にやりだしたので引き込まれてみてしまったが、きょうはなんとタルコフスキー『ノスタルジア…

ピョンチャン

ピョンチャン(平昌)がカンウォンド(江原道)にあると知り、ホン・サンスの映画『カンウォンドの恋』を思い出す。カンウォンドに関しそれ以外の知識はゼロで、その知識はオリンピック観戦にまったく役立たないが、しかしこれからTVで当地の山や町の風景を…

中国旅行中(3)

まだ中国にいる。明日(11日)帰国する。貴州省の観光地を10日間で3カ所回った。普通よりのんびりペースだが、それでも行き帰りの飛行機を含め6日間は長距離移動をした。かつてヴェンダースなどの映画はロードムービーと呼ばれ、つまりアクションやドラマや…

映画Disk鑑賞記録 2017年

★乱れる/成瀬巳喜男(1964) ★麦秋/小津安二郎(1951) http://d.hatena.ne.jp/tokyocat/20171220/p1 ★ジャッジ 裁かれる判事(2014) ★遊び/増村保造監督(1971) ★二重生活/ロウ・イエ(2012) ★チチを撮りに/中野量太(2013) ★ブレードランナー2049…

NHKにて『麦秋』

20世紀半ばの日本。もはやどこかよその国のような。よその国の映画のような。画質がとても良い。

だったら人間には魂も天国も地獄もあるのか? ――ブレードランナーをめぐって

「魂もないくせに」――しかし魂がないのはレプリカントだけではないね。「おれたちには天国も地獄もない。だからここで戦うんだ」――この実感はレプリカントだけでなく無神論者のものでもあるね。 (以下を視聴して)https://twitter.com/tokyocat/status/9294…

★散歩する侵略者/黒沢清

最大級に面白かった。「黒沢清+ウェルメイド」という撞着語法が成立する! それにしても黒沢映画のエッセンスには、学生自主映画にありがちな安直な撮影ならではの魅力があるようであり、それはまた小劇場演劇にありがちな安直な展開ならではの魅力があるよ…

★映画『メッセージ』(あなたの人生の物語)

原作を読んですでに知っているはずのストーリーを、映画として改めてドギマギしながらたどっていく。――待てよ、これって「あなたの人生の物語」のテーマそのものを体験することだ! ……というわけで、映画『メッセージ』をやっとディスクで鑑賞。しかし、しか…

★恋恋風塵/侯孝賢

『冬冬の夏休み』に続いて『恋恋風塵』のブルーレイを鑑賞。これは去年買った侯孝賢の2作入りのボックス。レンタルとは違ってなんだか借家から持ち家に変わった気分。『冬冬』で寒子役をしている女優(楊麗音 ヤン・リーイン)が、『風櫃の少年』にも出てい…

★沈黙 サイレンス/マーチン・スコセッシ

「急いで足で踏め!」(ツイッター社に対するヘイトスピーチ反対行動) ――それはそれとして そういえば先日、映画『沈黙』をみて、踏み絵を現在の自分に置き換えたとき いかにすれば共感できるか、ということを考えた。ここ1年自分の核心的テーマは「無神論…

『童貞。をプロデュース』をめぐって

『山田孝之の東京都北区赤羽』よりも『あんにょんキムチ』よりも『ライブテープ』よりも、『ゆきゆきて神軍』を思い出した。 http://www.nicovideo.jp/watch/sm31841741?ref=twitter (舞台挨拶 池袋シネマ・ロサ) *《「本当か、嘘か」ではどうせ水掛け論…

★牯嶺街少年殺人事件/エドワード・ヤン

今週は『牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』を再び鑑賞。 一言で讃えれば「この映画の中にいたい」ということになる。 それはしかし、この映画の中の、このカットの中にいたい、この街路や、この家屋や、この学校や、この店舗の中にいたいという、具体的…

終戦の嬉しさ、敗戦の悔しさ

こうの史代『この世界の片隅に』で、8月15日に玉音放送を聞いたすずは、「負けたいう事かね…?」「ハー 終わった 終わった」と安堵する周囲の人とは違い、「最後のひとりまで戦うじゃなかったんかね?」「いまここへまだ五人も居るのに!」「うちはこんなん…

小津安二郎と「東京物語」に寄り添って

ちくま文庫の『小津安二郎と「東京物語」』(貴田庄)という本を読んだ。『東京物語』がどのように作られたのかを小津の日記などをもとにコンパクトにまとめた一冊。脚本作成や撮影を進めていく様子があるていど実感できて非常に興味深い。小津や『東京物語…

★飼育・死者の奢り/大江健三郎

さっきひと眠りしたら、社会の劣化と深刻な恐怖におののく夢をみた。眠る前に大江健三郎の「飼育」を読み終えたせいだと思われる。江藤淳によるその短い解説も読んだせいだと思われる。こんな特異で強烈な反応をもたらすような小説に、近ごろあまり触れてい…

籠池の怨返し

http://www.asahi.com/articles/ASK6P6H1YK6PUTIL0DX.html根本敬の漫画に「一徹の恩返し」というのがあったが、なんとなくそれを思い出した。籠池氏の怨返し。それから、豊田商事会長刺殺事件がふとよみがえる。現金(2万円?)の生々しさ。血の生々しさ。 …

エドワード・ヤンの映画がなぜいいのか―― 

いつも眺めているはずのありふれた光景でありながら、実はそこには、偶然のその街やその人たちと生きていくことの驚き・不思議さ・いびつさがいくつも含まれている、ということに黙って気づかせてくれるからではないか。上記は、ツイッターで『台北ストーリ…

★怒り/李相日監督

ブルーレイ鑑賞。渡辺謙と宮崎あおいの父娘とともに造形されていた、みすぼらしく、とりえもなく、さびしげで、せつない、生活と姿形が、きわだってリアルに感じられ、思えば最も印象的だった。日本の随所にこんな住まいがありこんな人たちが大勢目立たず暮…

『牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』をみた。新宿武蔵野館。光と闇、音と静寂。感想はうまく言えない。

少しあとになって、一言だけ… http://d.hatena.ne.jp/tokyocat/20170529/p1

ふりつもる『東京物語』

トランプに世界は揺れ、日本発『君の名は。』も世界を揺さぶりそうな昨今。しかし私はひとり『東京物語』をDVD鑑賞。先日の尾道行きの名残。『サピエンス全史』は現世人類の特徴として時間の拡張を指摘するが、『東京物語』などを反復するにつけ、それを通り…

ロシア大使狙撃〜気狂いピエロ〜批評

トルコのロシア大使狙撃の映像をみて、『気狂いピエロ』で男が室内で殺される最初のほうのシーンを思い出した。白い壁とふいにそしてあっさり人が死ぬ点が共通しているのか。後半にも似たシーンがあった。それにしても、この事件は空前の衝撃だが、『気狂い…

映画Disk鑑賞記録 2016年 (2) =進行中=

<川島雄三> ★愛のお荷物(1955) ★あした来る人(1955) ★洲崎パラダイス赤信号(1956) ★風船(1956) ★暖簾(1958) ★しとやかな獣(1962) ◎「洲崎」感想 ◎「暖簾」感想 ◎「獣」など感想 <侯孝賢> ★風櫃の少年(1983)=劇場・再= ★冬冬の夏休み(19…

★映画『この世界の片隅に』

きのう見てきた。すずは最も大切なものをあれよあれよと次々に奪われていく。悲惨すぎるのに健気すぎる。敗戦という途方もない傷を抱えていく痛み、そしてそれを忘れていく痛み、というようなことを、私は一番強く思った。【ネタバレ警報】【ネタバレ警報】…

宮崎駿を天皇のごとく疑わないのが気に入らない

(NHKのドキュメンタリーでドワンゴの人工知能によるCG制作を叱った件)私の場合、ここに「柄谷行人」を、「加藤典洋」を、「高橋源一郎」を、「村上春樹」を、「北野武」を、「坂本龍一」を入れても同じこと。彼らと彼らの作品への絶大な敬意は変わらない。…

★しとやかな獣/川島雄三

『洲崎パラダイス赤信号』とともに今年初めて見て同じく忘れがたいのが『しとやかな獣』(どちらも川島雄三監督)。「しとやか」と「獣(けだもの)」はオキシモロン=矛盾形容語法で、それはもちろん若尾文子が演じる女を指すのだろうが、この映画は、若尾…