東京永久観光

【2019 輪廻転生】

批評

グローバル化 なれのはて

近ごろ先端の思想&メディアを検索するなら「ゲンロン+ニコニコ」ですね。というわけでもないが、宮台真司×東浩紀「ニッポンの展望 #4 2016・春の陣」を、23日に視聴した。(http://live.nicovideo.jp/watch/lv253687500)欧州の中枢ブリュッセルでもテロが…

★死んでいない者/滝口悠生(芥川賞)

芥川賞の滝口悠生「死んでいない者」を文學界12月号で読んだ。お通夜に集まった親族たちの、ありふれた行動を淡々と追っていくなかで、それぞれの人物像と状況、親子や兄弟としての微妙な関わりあいが、平凡ながらも切実な現実味を伴って、みごとに織り上げ…

『悪霊』(ドストエフスキー)を読み始めてしまった。

正月気分でつい。すでにUターンラッシュはピークを迎えたというのに…。しかしこの小説、面白い!1860年代が舞台であり、農奴解放がついに実施され、西からは社会主義思想も入り込み、とにかく激変・動揺の帝政ロシアだったようで、何だか分からぬその新しい…

コスパ最高!

夜は、鳥貴族でもも肉タレと釜飯とキャベツを食べながら、『ゲンロン1』「現代日本の批評」を読む。 胃と頭にエクセレントかつコスパ抜群の栄養摂取。

社会思想の異常気象

おととい夜更けに眠れなくなり、ニコニコ生放送で、小林よしのり×宮台真司×東浩紀の5時間トークを延々視聴してしまった。ゲンロンカフェで行われた『戦争する国の道徳』の刊行記念イベント。◎http://live.nicovideo.jp/watch/lv238498456さて、二晩ちゃんと…

文芸誌の使用価値と交換価値

浅田+中沢+東の鼎談「現代思想の使命」(ゲンロンカフェイベント)を、新潮4月号で遅ればせながら読み、ここ15年の状況がもののみごとに整理させれていて唖然としたが、それはさておき…ふと雑誌の裏に目をやると「救心(どうき・息切れ・気つけに)」の広…

変態的に険しい壁と本当に信頼できるハーケン

日本を安保や基地なしで平和にする、ついでに世界もそうする、なんてのは、変態的に難易度の高いミッションであり、途方もなく高く切り立った壁。そこを登ろうというのだから、硬い岩盤によほど確実なハーケンを丁寧に打ち込まなければ、とても危なっかしく…

難しい本(量子力学解釈/ドゥルーズ解釈)

*前エントリー(http://d.hatena.ne.jp/tokyocat/20150405)から続く 『データの見えざる手』(ASIN:4794220685)は、「人が一定期間に行える体の活動の量には上限があり、それ以上何かするのはまず無理」ということを実証し、大変びっくりしたが、それ以来…

福島について/沖縄について

小林よしのり×宮台真司×東浩紀「日本を変えるにはテロしかないのか?」(ゲンロンカフェ)をニコニコ生放送で視聴した。 ◎http://live.nicovideo.jp/watch/lv212735192 =以下はそれを郷里福井の身内や知人に勧めたメールから= 沖縄の基地、福島の原発、テ…

右肩下がりの近代

左翼系思想への長く揺るぎない傾倒から、そこに忍び寄る深い懐疑と、険しさを増しつつあるその凋落。これはかつて西洋世界が直面したキリスト教信仰への疑いに匹敵するくらい大規模なものなのではないか。少なくとも私の半生そして今後を含めた人生全体くら…

読んで忘れてまた読んで

蓮實重彦の本格的な評論「『ボヴァリー夫人』論」の連載が、文芸誌『新潮』で2014年1月号から始まっていたのだった。 ……というか、単行本がすでに6月に発刊されていたのだった!(新潮は連載ではなく冒頭のみの先行掲載とのことだったらしい) 今やっと「序…

★(日本人)/橘玲

asin:B00MG9UH06 この本は書名からいって日本人論ということになろう。しかしなんだか大回りする。進化生物学を通して人間全体を考え、グローバリズムとアメリカを考え、日本のむしろ官僚や政党を考えるといったぐあいに。そして終盤、やや唐突に以下のよう…

ああインターテクスト、ああインターナショナル(?)

《蓮實 さっき僕は、情報空間とコミュニケーション空間を区別したんだけど、その情報空間というのが共同体としての日本にあたるわけです。それはまた、文学対言語の言語にあたるものです。そして、前に挙げた区別をまた使えば、情報空間はイメージを介した物…

曖昧と妥協

日本人の特質というなら曖昧と妥協ではないか。あるいは孤独と諦観? 正義や自由はそこから生まれうるか?これは昨晩の東浩紀氏のツイートを見て思ったこと。https://twitter.com/hazuma/status/492746465182089216西洋思想とは別のルートで日本が独自に正義…

★浅田彰×東浩紀「フクシマ」は思想的課題になりうるか/ニコニコ生放送

http://live.nicovideo.jp/watch/lv166863981 視聴した不可視だった浅田彰が、東浩紀を、柄谷行人の過去と現在を、共産党を、東日本大震災を、原発技術と今回の事故を、それぞれどう評価しているのか、次々に明かされた。ただし文字通りには浅田は「不可視の…

飛び道具的、酒の勢い的

ゲンロンカフェに初めて行ってきた。 茂木健一郎×東浩紀「東大は本当に要らないのか ――哲学と脳から考える新・学歴社会論」(http://peatix.com/event/23400) 「人文系の学問は人間への自己言及をめぐるがゆえに、何が正しいのかは歴史によって示されるしか…

原発話法

◎http://t.co/AxFg0zJF 高橋源一郎「午前0時の小説ラジオ」「あの日」からぼくが考えてきた「正しさ」について これを読んでぱっと思ったこと(以下) アーレントがつきつける「正しさ」はたしかに厳しすぎるし息苦しく感じる。しかし、「原発賛成が正しい…

一般意志2.0

★一般意志2.0/東浩紀 世界はどうなっているのか。社会はどうしたらいいのか。ひとりで思案してもわからない。だが、だれかと議論してもわからない。情報の膨大さ複雑さが空前の域に達しているから。インターネットゆえに。第7章まできたが、まずこの現状認…

でも読書のほうがストレンジャー

きのうはネットばかりしていた。ほんとにネットしかしなかった(ちらっと新宿のデモを見に行ったが)何万年か前なら、人間は毎日毎日食糧採集しかしなかったのだろうか? そのころ日曜日はなかったのだろうか? 人類は進歩したのだろうか? 原発生活もヘンか…

原発について考えたことのまとめ

【5月30日/友人とのやりとり】原発問題というより人間問題、世間問題のほうでこそ考え抜き、悩み抜くよね、実際。日本人的なのだろうか? 【5月30日/同】「原発問題より人間問題のほうが主」などと思ったのは、私の感覚がマヒしていて原発問題の重大さがわ…

ほうれん草は原子力レンジでチンせよ

電気なんて私には空気みたいなものだが 実用化された当初の人々には まさしく神秘あるいは魔法として映っただろう。 それは19世紀後半ごろ。 原子力発電の登場はそれから1世紀くらい後か。 今どき電気を神様として崇拝したり 悪魔として忌避したりする人はあ…

世界を情報化させるより文学化させたいですか?

結論をまず示す―― 私たちの共同体は地域よりもネットにあり、私たちの物語は言説よりも情報にあるのかもしれない。たとえば、菅改造内閣は「日本の話ですか、メディアの話ですか」と問うてみるべきだ。判断に迷ったとき、「識者のコメントに頼りますか、2ち…

観光論的、買い物的

思想地図βが届いた。東浩紀はまずどんなメッセージを発しているだろうと思い、創刊の辞をまず読む。そうしたらなんと、シンガポールへの「観光旅行」をめぐって書いているではないか!東さん一家は、ホーカーズと呼ばれる「本物の屋台」と、そしてショッピン…

世紀の罵倒

柄谷行人が文芸誌のある対談で作家の中野孝次を激しく罵ったことがある。昔(1985年)のことだが、ネットでは今も伝説っぽく語られる。私は当時図書館でたまたまそれを読んでおり、あまりのひどさにぎょっとした覚えがある。あれはいったい何だったんだろう…

玉砕根性 受け継いでいるような気がするニッポンの夏

そろそろ2010年8月15日だ。高橋さんの路上つぶやきでも聞くとしよう。 http://twilog.org/takagengen/date-100815 (以下はこれと同時進行で私がつぶやいたこと) 日航機が落ちて25年。私の母が死んだのも実は25年前。早いものだ。戦争が終わって65年という…

零円では偽札も罪にあらず?

★悪貨/島田雅彦 日本円に偽札が多量に紛れ込んで通用し始めたら、資本主義は本当に崩壊するのだろうか。その肝心のところがなんだかうまくうなずけない。そもそも貨幣ってなんで使えるんだっけ? はたまたマクロな経済ってどうやって膨らんだり縮んだりする…

読書記録 2010年(2)

近ごろどれほど本を読んでいないことか。いやこう言うべきだ。生涯で本をそれなりに読む期間は、あったとしてもどれほどわずかしかないことか。暗澹たる気持ちになる。少しの時間しか読書にあてられないのが動かせない条件なら、それでも意義ある読書を実現…

人はある日とつぜん人柄をあらわす

★人はある日とつぜん小説家になる/古谷利裕 同書が最初に言及する磯崎憲一郎氏(芥川賞作家)と著者古谷氏が対談するというので出かけていった。新宿のジュンク堂。2月20日。あたかも「デキる上司がダメなバイトを叱る図」のようで、実際はまったくそうでは…

小林秀雄 食べ放題(590円)

きのう昼飯のお供に、小林秀雄『考えるヒント』の文庫を買った(asin:4167107120)。「言葉」と題するエッセーに、「姿ハ似セガタク、意ハ似セ易シ」という本居宣長の引用がある。《ここで姿というのは、言葉の姿の事で、言葉は真似し難いが、意味は真似し易…

アーキテクチャと思考の場所

公開シンポジウム「アーキテクチャと思考の場所」を聴きに行った。http://www.cswc.jp/lecture/lecture.php?id=60こちらのブログでおおよそが分かる。→http://d.hatena.ne.jp/tarenagashi/20090128#p1 ●浅田彰にがっかり東浩紀が提示する「アーキテクチャ」…